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スペキュラティヴ・デザインの変遷と未来──提唱者ダン&レイビーに師事した、岩渕正樹氏が語ったこと

登壇者:デザインディレクター/パーソンズ美術大学非常勤講師 岩渕正樹氏

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スペキュラティヴ・デザインとは

 岩渕氏は今年5月、パーソンズ美術大学デザイン&テクノロジー学部の芸術学修士(MFA)を修了した。イギリスのロイヤル・カレッジ・オブ・アート(RCA)時代にスペキュラティヴ・デザインを提唱したことで知られ、2016年よりパーソンズ美術大学で教鞭を執っているアンソニー・ダンとフィオナ・レイビー(以下、ダン&レイビー)だが、岩渕氏は日本人としては初めて、パーソンズ美術大学に移って以降のダン&レイビーから直接指導を受けた人物だ。

 岩渕氏によれば、ダン&レイビーにより提唱されたスペキュラティヴ・デザインは、その言葉が生まれてから早20年近くが経ち、意味するところが変化してきている。さらに、ダン&レイビー自身はすでにスペキュラティヴ・デザインという言葉を使っておらず、「その先」にある概念を模索すべく、パーソンズ美術大学で「Designed Realities Studio」なる研究室を立ち上げているのだと言う。その変容が意味するところとは。そして「Designed Realities」とはなにか。

Designed Realities Studioパーソンズ美術大学 Designed Realities Studio(岩渕正樹撮影)※現在は写真中の”Lab”から”Studio”に呼称が統一された

 そもそもスペキュラティヴ・デザインとはなにか。岩渕氏は以下のように説明する。

「現在から見た未来は、暗闇を照らす懐中電灯の明かりのように、円錐状に広がっていると例えられる(PPPP図)。明かりは外へ行けば行くほどぼんやりとしているが、手元のよく見える部分だけではなく、未来にはいくつもの可能性があることを示している。いまある技術が進展していったらこんな世界になるだろう、という現在の延長で形作られる未来だけではなく、もっとこんなオルタナティブな社会もありうるのではないかとか、いまある技術が現在と全く違う価値観を拓く可能性はないのだろうかなどと、現在の延長線上ではない、飛躍した未来をデザインにより可視化し、どれが我々の目指すべき未来なのかを議論する領域をスペキュラティヴ・デザインと呼ぶ」

PPPP図出典:アンソニー・ダン&フィオナ・レイビー『スペキュラティヴ・デザイン』

 日本ではスプツニ子!や長谷川愛らが、RCA時代のダン&レイビーにスペキュラティヴ・デザインを学び、表現活動を行っていることで知られる。

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