匿名大規模バーチャルコミュニティから生まれる社会現象
デジタル特有の匿名性により、以前は組成することが難しかった大規模なコミュニティも、より大きな規模で、素早く、求心力を保ったまま拡大することができるようになりました。
任天堂が提供している『あつまれ どうぶつの森』は、様々な動物が暮らす村に住み、他の住人たちと交流しながら生活を送るゲームです。島で釣りをしたり、庭に草木を植えて育てたり、村を開発して発展させたりと、自由でほのぼのとした暮らしを送ることができることが特徴とされてきました。しかし、その自由さをゲーム以外の目的に使うケースも出てきました。たとえば、2020年春にはどうぶつの森内での香港民主化運動が確認されています。ゲームならではの匿名性や、物理的な場所に捉われず大規模な集団を作ることができる特性を活かし、検閲などの危険を抑えながら活動ができる舞台として、オンラインゲームが選ばれたのです。バーチャルでゆるい大規模コミュニティから、デモ参加という行動目的を持つアソシエーションが生まれた事例といえるでしょう。