大企業の品質を保つ製造プロセスは新規事業には合わない
畠山:品質基準という話が出ましたが、大企業での新規事業では、“大企業クオリティ”にこだわるために製品が世に出せないというケースも多々あります。それはどうやって乗り越えたのでしょうか。
對馬:大企業の場合、製造工程も販売方法もカスタマーサポートも、何百万台製造する上でベストなプロセスが組み上がっています。たとえば、100万台製造する製品で不良率が1%だとすると、1万台の不良品が出ます。そこで500万円の検査装置を導入して不良率を0.1%下げようとすると、不良品は1,000台減って数千万円の利益が期待できるので、投資する価値があると判断されます。しかし、新規事業で1万台を製造する場合、不良率1%だと不良品は100台です。0.1%、つまり10台の不良品を減らすために500万円の検査装置を導入するのは難しいですよね。それでもその500万円の検査装置を導入しないといけないというのが、いわゆる“大企業クオリティ”に縛られている状態です。