カスタマーサクセス導入時にやりがちな失敗
大坂氏がWOWOWでカスタマーサクセス的な手法によって顧客数を回復させていた頃、このようなマーケティング手法は、日本ではまだ「カスタマーサクセス」という言葉では呼ばれていなかった。V字回復を果たした後の2018年、シリコンバレーのSaaS企業Gainsightの社長ニック・メータ氏の書籍が和訳され、『カスタマーサクセス──サブスクリプション時代に求められる「顧客の成功」10の法則』(英治出版)として日本で出版されたのが、カスタマーサクセスという言葉や概念が上陸したきっかけである。
当時から、一般的に使われているカスタマーサクセスのKPIは、「自社製品やサービスの契約・購入前の段階における、宣伝や広告に対する問い合わせ数や率」「実際の購入数や購入率」や、「導入時のオンボーディング完了率」「顧客が商品やサービスの利用を続けるかどうかの継続率や解約率」などであった。加えて、周囲の人に利用を推奨するかどうかを示す「NPS(ネット・プロモーター・スコア)」や、満足度や解約可能性を追う「ヘルススコア」も重要な指標とされた。