経済産業省のDX推進の取り組み
ウェビナー前半では、経済産業省とIPAから「今までの経済産業省を含めた政府・省庁のDX推進の取り組み」や「デジタルスキル標準」のポイントが説明された。
経済産業省からは、商務情報政策局情報技術利用促進課 課長 内田了司氏が登壇。デジタルスキル標準策定の背景説明、経済産業省のDX推進施策の振り返りが行われた。
経済産業省はDX推進に向けて企業や経営者が実施すべき事項を取りまとめた「デジタルガバナンス・コード」を2020年11月に策定。これは遵守すべきルールではなく、取り組み推進のための羅針盤として、DX推進時に、基本的事項や望ましい方向性、取り組み例を示すことを目的としてる。
2022年9月には「デジタルガバナンス・コード2.0」として改訂している。改訂のポイントは主に3つあったという。
- デジタル人材育成・確保の重要性
- 「サステナビリティ・トランスフォーメーション(SX)」や「グリーン・トランスフォーメーション(GX)」とDX の一体的な取り組みを明記
- DXによる稼ぐ力強化・組織変革推進のための行動指針の重要性を強調
「デジタルガバナンス・コード2.0」はいわば、DX経営の要諦集といった存在だ。それに沿った推進施策が、「DX銘柄」(大企業向け)や「DX Selection」(中堅・中小企業等向け)、「DX 認定」(すべての事業者向け)などの、表彰・認定などの制度だ。
2023年2月9日に発表された『DX白書2023』では、引き続き企業のDX推進の障壁として、DX人材の不足をあげている。
上記のように、米国との比較でも、DX人材は量も質も不足しているというアンケート結果を掲載している。
このような状況を受け政府でも、5年間でデジタル人材を230万人育成するという目標を「デジタル田園都市国家構想基本方針」の中で掲げている。その目標達成のために文部科学省、厚生労働省、経済産業省などが連携しているという。
経済産業省とIPAでは民間とも連携して、デジタル人材育成プラットフォームのポータルサイト「マナビDX(デラックス)」を提供している。こちらのカリキュラムは「DXリテラシー標準(DSS-L)」(2022年3月発表)に準拠しており、順次「DX推進スキル標準(DSS-P)」にも紐づけていくとした。人材派遣業界や教育サービス業界などで既に活用が始まっており、また、企業の人材育成部門で使う「研修カリキュラム」への反映が進んでいるという。
「銘柄選定や認定が目標ではなく、その過程にあるDX推進指標などから自社のDX推進状況や課題を、他社との関係でも確認できる“ヘルスチェック”機能として活用いただき、体制整備や社内外での対話に活用いただければと思います」(内田氏)