「維新」に必要な4つの領域「A、B、C、D」
1879年に、日本初の保険会社として「東京海上保険」という名で創業した東京海上日動火災保険。現在では、東京海上グループの傘下として国内の損害保険事業を担っている。同社は2021年、「お客様と地域社会の“いざ”をお守りする」というパーパスを策定し、重点的に取り組む以下5つの社会課題解決を掲げている。
- 地球規模の気候変動・自然災害の増加
- 高齢化・医療技術の進化などに伴う介護・医療の負担増加
- 技術革新がもたらすさまざまな環境変化
- 共生社会作り・新型コロナウイルスへの対応
- 経済成長・イノベーションを支える産業基盤
これらの社会課題の解決、そしてパーパスの実現に欠かせないのが、DXによる価値創造だ。同社は、グループ全体のIT領域を担う東京海上日動システムズとともに、「①商品・サービス、②マーケティング、③顧客タッチポイント、④営業プロセス、⑤損害サービスプロセス、⑥社内共通プロセス」の、6つの領域においてDXを推進している。
「DXを成し遂げるためには、業務の在り方から組織、サービスのプロセスに至るまで、領域の異なるさまざまな変革に挑戦しなくてはなりません」と語る村野 剛太氏(以下、村野氏)。どのようにして、多岐にわたる領域での変革を推し進めていったのだろうか。
経済産業省が発行している『DX推進ガイドライン(現:デジタルガバナンス・コード2.0)』によれば、DXとは「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズのもと製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務、組織、プロセス、企業文化を変革し、競争上の優位性を維持すること」と定義されている。
村野氏は、DXを「すべてを改め、新しくする」という意味を込めて「維新」と呼んでいる。また、東京海上グループで行われているDXの取り組みを、この定義に基づいたDX推進のフレームワークとして以下のように整理している。
「維新を達成するためには、アジャイル(Agile)、ビジネス(Business)、クラウド(Cloud)、データ・デジタル(Data/Digital)の4領域において取り組みを行っていく必要があります。それら4つの頭文字を取って、DX推進を『ABCD維新』と名付けたのです」(村野氏)