なぜ独自戦略「DX@Aflac」で“ヘルスケア”の構想を掲げたのか
──アフラック生命保険(以下、アフラック)のDXといえば、2020年から掲げているDX戦略「DX@Aflac」がありますよね。
二見通氏(以下、敬称略):そうですね。DX@Aflacは、当社のコアビジネスである保険領域のさらなる成長と、保険の枠を超えた新たな価値を創出するために策定した独自のDX戦略です。
この戦略の中で、“コアビジネス”の領域としては「クロステック」「UI/UX(顧客体験)の進化」「データ利活用」「システム開発プロセスの自動化」を重点領域として掲げています。ただ、これらの改革を当社の力だけで進めるのは、技術やスピード、コストの観点から難しいことは理解していました。
そのため、当社と親和性がある企業と共に様々な領域で価値創出できる環境を構築していこうと考えるようになりました。その中で「新たな領域」の可能性に気付き、DX戦略の中に組み込むこととなったのです。
──新たな領域は4つ掲げられていますが、その中の1つに「ヘルスケア」が挙げられている理由とは何でしょうか。
二見:お客様の健康に資するお手伝いをすることが、アフラックがこれまで培ってきた経験や、蓄積してきたノウハウを最も活かせる領域だと考えたからです。当社がブランドプロミスとして掲げている「『生きる』を創る。」を実践するためには、ヘルスケア領域における新たな価値の提供が不可欠だと考えています。
ただ、4つの新たな領域はそれぞれが独立して分かれているわけではなく、すべてがつながった一連の戦略として位置づけられています。「データエコシステム」や「共有価値創造型スマートシティ」に資する活動も、ヘルスケア領域で描いている構想を進めるための取り組みだといえます。
──どういうことでしょうか。
二見:たとえばデータに関して言えば、当社はがん保険を日本で初めて提供し、長年多くのお客様にがん保険や医療保険を提供してまいりました。その中で、多くの給付金や保険金もお支払いしてきています。その結果、膨大な医療データが蓄積され、特に「がん」にまつわるデータの蓄積量は群を抜いています。このデータを活かせれば、お客様の健康管理・維持に貢献できるサービスや、地方自治体との連携による住民の皆さまの健康増進に貢献できるサービスが提供できるのではないかと考えたわけです。
ただし、これらの取り組みを支えるためには、データ分析の基盤やホストコンピュータなどといったインフラと、バックオフィス組織が欠かせません。DX人財の育成やDX推進に向けた社内文化の醸成も必要です。また、自治体や医療機関、他企業などとのオープンイノベーションも重要となるでしょう。データを当社だけで活用するのではなく、エコシステムの構築によって地域や社会と共に課題を解決するために活用していきたいと考えています。
そのため、DX@Aflacにおいては「ヘルスケア」の項目だけでなく、すべての項目がヘルスケア事業推進のために必要なものとなっています。