QUANTUM井上氏が語る、新規事業の「撤退基準」とは
質問1:年間何十件もの新規事業にリスクを取って信じ企業に携わる際に、お金はどうしていますか? また、撤退基準についても教えていただければと思います。
井上裕太氏(以下、敬称略): 質問の中身は二つですね。1つ目は「お金」に関すること。幾つかのポイントがありますが、一番重要なのは「自分たちがどこで稼ぐかをはっきり決める」ということです。例えば、QUANTUMは、5年間の協働プロジェクトで収益を50億円にして、そのうちの10%で5億円を請求するということは、あまりやりません。どちらかというと、立ち上げ初期にググッとアクセルを踏む所までを支援し、その時点で利益確定をするというモデルです。ですから、良い場合もダメな場合も、ある程度短期で成果が出るので、ある程度コントロールはしやすいのです。
2つ目の質問は「撤退基準」についてですね。全事業に対して普遍的に通用する撤退基準はあまりないものの、撤退基準は案件ごとに明確に決めています。それは、パートナーである大企業にとっても非常に大事なことですから。よくやるのは、いくつか設けたゲートごとに撤退基準を決めるやり方です。
例えばプロトタイプを作って、ユーザーと対話して、フィードバックをもらう所までを、「ゲート1」とします。その反応が良ければ「ゲート2」に進みますが、ここでもし全然違うと思ったら、ピボットするのもやめて撤退します。ゲート2では、例えばある一部の人に売ってみる、ゲート3はローンチする、みたいな感じです。そして、それぞれのゲートで、「こうだったらやめましょう」という撤退基準を決めます。他には、オーナーシップのある人をパートナー内で見つけられないと判断したら撤退することもあります。