なぜ “1+1>2”のプランを持たないM&Aは失敗してしまうのか
「M&Aは大手企業のみが実施する」という考えは、少しずつ変わってきています。2017年に成立した国内案件(IN-IN)の金額が平均で約10億円と小型であることは、前回ご紹介しました。この数字の中には大手企業が行っている超大型案件も含まれているため、実際の案件規模は、10億円を下回る案件が多いことが容易に予想できます。実際、レコフデータ社に報告されていない1億円を下回る小さな案件、もっといえば数百万円規模の営業権譲渡なども増加してきています。
たとえ小型の案件であっても、明確な目的を持ってM&Aに望む必要があります。企業の買収というと、大きな支出が伴います。そのため、「理由もなく買収するなんてことないだろう」と捉えられがちです。しかし、実際にM&Aの現場を見ると、大手企業でさえ、買収後に戦略策定を開始するというようなケースも見られます。しかし、 M&Aは、不動産売買や上場株の購入とは異なり、一度購入してしまうと再度売却して資金化することが困難な手法です。目的が明確ではないM&Aは、買った企業も、売った企業の従業員も不幸にさせてしまう最低の結果を招きます。