日本企業におけるM&Aの現状──「小型M&A案件の急拡大」という意外な事実とその「3つの要因」とは?

第1回

 「日本ではM&A(合併・買収)という言葉に負のイメージがある」。もはやこの言葉自体が疑わしい程、ここ数年間で企業を買収・売却したり、合併したりする行為は一般的なものになったのをご存知でしょうか。かつては海外企業や国内大手企業だけの経営戦略として用いられてきたM&Aはもはや一般化し、小型のベンチャー企業や中小企業による取り組みも増加してきています。
 本連載では、新規事業に代わる経営拡大手法としてのM&A、中小企業が残る方法としてのM&Aについて言及していきます。今回は、いま日本でどれ程の企業がM&Aを活用しているのか、最新の情報をお伝えします。

[公開日]

[著] 丹野 裕介

[タグ] 事業開発 企業戦略 M&A

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日本のM&A市場の“意外な”最新状況──年間3,000件以上ものM&Aが繰り広げられている

 弊社TRYFUNDS(トライファンズ)では、国内M&A・海外M&Aのアドバイザリー事業を展開しているだけではなく、世界最大級のM&A情報を集約させるプラットフォームである、BIZIT M&Aを運営しています。

BIZIT M&A

 このBIZIT M&Aには、日本全国・世界各国のM&A情報が集約されており、売りたい人・投資したい人がマッチング出来るウェブサイトです。誰でも簡単に登録することができ、審査に通ると自分の事業を売却したり、買収先を探すことが出来ます。

 このBIZIT M&Aですが、当初は、日本の大企業を対象としたサービスでした。しかし、今やユーザーの多くが中小企業となっています。この事実は、中小企業のM&Aに対する興味は急速に増大して来ている事、そして、M&Aは企業規模に関わらず、もはや当たり前の経営戦略となってきていることを示しています。

 M&Aという言葉のイメージから、数百億、場合によっては数兆円規模の買収を思い浮かべる方も多いかもしれません。しかし、ここで言及したいのは中型・小型のM&Aです。数億円〜数十億円規模の中型、そして、数百万円〜数千万円規模の小型のM&Aの検討がここ数年間で急速に増加してきています。

2006年以降のマーケット別M&A件数の推移

 株式会社レコフデータの調査によると、2017年には日本企業が関与した案件数は3,050件に上っています。2016年は2,652件であったため、比較すると約15%増と398案件増加したことになります。これは、2006年に記録した2,775件を11年ぶりに上回り、過去最多件数です。

 その内訳としては、

  • 国内案件(IN-IN)が2,180件/合計約2.20兆円
  • 海外企業の買収案件(IN-OUT)が672件/合計約7.48兆円
  • 海外企業への売却案件(OUT-IN)が198件/合計約3.66兆円

 と、件数ベースでは国内が圧倒的な件数シェアとなっています。

 日本が関係しているM&A件数の中で、70%以上が日本企業と日本企業(あるいは投資家)との間での案件となっています。逆に、海外企業が日本企業を買収するケースは全体の6.4%程度であるため、日本企業が企業を買収することに対して積極的であることが見てとれます。

2006年以降のマーケット別M&A金額の推移2011年には1,687件まで落ち込んだが、2012年に増加に転じ、以来6年連続の増加となった。金額は13兆3,457億円、前年比3,553億円、21.0%減少したものの、3年連続で10兆円を超え、引き続き高水準を維持した。

 件数で見ると、日本企業のリーマン・ショック後、合計金額こそ増減があるものの、6年連続の増加となっています。2011年の1,687件からは、実に178%の件数増という数字です。

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