サブスクリプションにおいて事業の成長を左右する“解約率”
サブスクリプション型ビジネスが今後重要になってくる時代に、成功の鍵を握るのはカスタマーサクセスです。カスタマーサクセスはお客さんのフォローにとどまりません。カスタマーサクセスはプロフィットセンターなのです。
山田氏は講演冒頭にこう語った。それは、今注目を集めているサブスクリプション型ビジネスには、目安にすべき大事な数字があり、それにカスタマーサクセスが大きく影響を与えるからだ。
サブスクリプション型ビジネスは一般的に、外的要因に左右されにくく、事業の成長が見込めるビジネスモデルだと言われている。しかし事業が成長していくためには条件がある。解約率が低くなければならないのだ。山田氏は、FORCAS 代表取締役 ジャパンベンチャーリサーチ代表取締役佐久間衡氏の言葉を引き「解約率は成長の上限を決める」と話す。
年間解約率3%から35%の成長の推移を単純計算してプロットしたのが、上の図である。これを見るとわかるように、解約率が25%を超えると事業開始後10年以内のほぼ事業が成長しなくなる。解約率が15〜25%だと、10〜20年の間は少しだけ成長するが、その後はあまり成長しない。解約率が10%を切ってやっと、30年間成長し続けるというビジネスモデルになるのだ。つまり、解約率10%を達成しなければ事業成長はすぐに頭打ちになる。解約率を10%に抑えられるようになり、その後成長基盤を整えて初めて、マーケティング費用を投下して成長を加速させていく必要があるのだ。
では、解約率を下げるためにはどうしたらいいのだろうか。その鍵を握るのが「カスターサクセス」である。Sansanは創業翌年の2008年に今のカスタマーサクセス部の前身となるサービス部を発足させ、担当部署名を変えながらも継続してカスタマーサクセスを考え続けている。顧客の解約率をさげることでプロフィットセンター化したカスタマーサクセスには、どんな特徴があるのだろうか。