メタップス佐藤氏が語る、未来を先読みする変数―パターン認識、許容までの時間、影響度

特別対談 Metaps佐藤航陽氏✕入山章栄✕佐宗邦威 第3回

 入山章栄氏と佐宗邦威氏がイノベーションとクリエイティビティを包括的にとらえようとする本連載。今回のゲストは、人工知能、仮想通貨、ロボット関連など様々な事業進出で、いま日本で最も注目を集める若手経営者の一人、株式会社メタップスの代表取締役社長の佐藤航陽氏。その事業の先進性もさることながら、著書『未来に先回りする思考法』では、未来予測とそのスキルの体系化という内容の斬新さで、多くの人々に大きな衝撃を与えた。 第三回は、佐藤さんの思考・行動の源泉となっている好奇心や発想や、その先に見る未来と人の姿などについて伺う。今までの連載はこちら

[公開日]

[語り手] 佐藤 航陽 [聞] 入山 章栄 佐宗 邦威 [画] 清水 淳子 [取材・構成] 伊藤 真美 [編] 栗原 茂(Biz/Zine編集部)

[タグ] ワークスタイル 事業開発 教育 パターン認識

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「メカニズムが分かって予測可能になると飽きるんです」

入山(早稲田大学ビジネススクール准教授):
 ここからは、佐藤さん自身の思考やその源泉などについて聞かせていただければと思っています。メタップスでの事業はあくまで実験としながらも、基本的には企業のトップとして何か決定されたら、データを分析して、仮説を検証し、ということはされているんですよね。

佐藤(株式会社メタップス代表取締役社長):
 はい、ちゃんとやっていますよ(笑)。仮説を立てて、その正否を知るために必要なデータを考えてかき集めて5〜6回仮説通りになって、「正しいだろう」と判断したら……飽きる。

入山:
 ははは、飽きちゃうんですか(笑)。佐藤さん、お金が無尽蔵にあったら、学者の方が向いてるんじゃないですか。

佐藤:
 そうかもしれませんね。「metaps」「SPIKE」という事業も慣性の法則と同じで、スタートするときは相当なエネルギーが必要ですが、一度軌道に乗るとしばらく継続するんです。その時点で、事業を大きくする能力のある人に委ねますね。でも、好奇心って「わかるまで」消えないんですよね。そしてメカニズムがわかっただけじゃまだダメで、予測可能になってやっと消える。そこでやっと他の人に渡せるんです。

入山:
 実にユニークですよね。アイディアを生み出すために大切と言われる「アナロジー発想」「仮説と検証」を、佐藤さんはとても大きなスケールで実践されているように思います。ちなみに経営学では、アイディアを生み出すために必要と言われるもう一つの要素に「対話」がありますが、佐藤さんはどのようなお考えですか。

佐藤:
 人と話すのは好きです。でも、議論はしないです。基本的には情報収集や新しい視点を入れるため、人の話を聞くことが多いです。

佐宗:(biotope 代表取締役社長)
 そうやって「対話」から情報収集をしたうえで、構造化・法則化する場合、どうするんですか。頭の中でいろいろ考えることが多いですか。

佐藤:
 たいてい紙に描いたりしてイメージの中に落とし込みますね。その上で式として表す。たとえば、川の流れを思い浮かべて、情報の川、雇用の川みたいに流れる速さをイメージしたり、グラフにして考えたり…。

佐宗:
 もし、部下の方が佐藤さんのそういう能力を身につけたいと思ったら、どうすればいいんですか。

佐藤:
 やめた方がいいと思います。

入山・佐宗:
 ええ〜(大爆笑)。どうしてですか?

佐藤:
 どんどん人間の根源的な欲求から離れて、帰って来られなくなる気がするんですよね。物事のメカニズムがわかると飽きるというか、醒めちゃう。たとえば、30代とかになると恋愛の価値って、それ以前より断然下がるじゃないですか。「なぜ相手を好きになって」「どうしてそういう反応があるのか」とか、もろもろ知っているからだと思うんですよね。だから構造がわかると、どんどん人間生活が面白くなくなってしまう。だから、自分はもう仕方がないですが、僕のような考え方をすることはおすすめしないんです(笑)。

佐藤 航陽株式会社メタップス代表取締役社長 佐藤 航陽 氏
1986年福島県生まれ。早稲田大学法学部中退。大学在学中の2007年に株式会社メタップスを設立し代表取締役に就任。2011年に人工知能を活用したアプリ収益化支援プラットフォーム「metaps」を開始。東京、シンガポール、香港、台湾、上海、サンフランシスコ、ソウル、ロンドンの世界8拠点で事業を展開。2014年より決済サービス「SPIKE」を開始。2015年のフォーブス「日本を救う起業家ベスト10」、AERA「日本を突破する100人」、2016年フォーブス「Under 30 Asia」に選出。

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