コミュニティによる行動変容の“3つの原理”
集団を活用して行動を変えるとき、どのような原理が働くのでしょうか。リアル/デジタルに関わらず、コミュニティによる行動変容の原理は大きく3つあります。
- 社会規範(ソーシャル・ノーム)の共有:人が複数集まることで、「この状況ではこうした行動を取るものだ」「人はこのような行動を取るのが当たり前だ」といった価値観が生まれる
- 衆人環視・同調圧力:集団の中で「特定の行動を取るべきである」という同調圧力が働き、集団を構成する各メンバーの意識は、その行動を取る方向へと働く
- 競争意識:他者と自分との順位や立ち位置を意識し、1人では取らなかった行動を取ったり、本当は取りたい行動を控えたりする
さらに、これらの原理を強く働かせる要素として、承認や励まし、批判など、前回のテーマでもある“インセンティブ”が加わることで、より行動が変容しやすくなります。
では、デジタル化は、コミュニティによる行動変容の効果と定義にどのような影響を及ぼしたのでしょうか。第1回で整理した「デジタル化による行動介入“5つの変化”」のうち、効果を高めることに関しては「コミュニケーション量・質の向上」「透明性・正確性の向上」がポイントです。たとえば地域コミュニティでのコミュニケーションは、町内会や回覧版といった定期的で一方的なものから発展し、いつでも相互に交流できるメーリングリストやLINEグループに変化しました。また、正確でリアルタイムなデータ測定を通じ、行動や目標の達成具合がスコア化できるようになり、仲間同士での競争や達成度の可視化による自己達成感の向上も容易になりました。