シリコンバレーが選出した日本発ベンチャー5社が登壇

7月10日、スタンフォード大学にて、第5回目を迎える「Japan-US Innovation Award(日米イノベーション・アワード)シンポジウム」が、北カリフォルニア日米協会とスタンフォード大学USアジア技術経営研究センター主催のもと開催された。日米で活躍する新興リーダ企業(Emerging Leader)として、米国のiRobotと日本のジェイアイエヌが授賞。さらに、本年初の試みとして、今後のグローバルでの活躍が期待される日本発ベンチャー5社が「Innovation Showcase(イノベーション・ショーケース) 2015」に選出された。著者が所属するクラウディアンは、この5社に選出され、本シンポジウムに参加する機会を得たので、その模様をレポートする。

[公開日]

[著] 本橋信也

[タグ] ベンチャー データテクノロジー

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シリコンバレーで重要な人と人のつながり

本シンポジウムに先立つ9日、主にイノベーション・ショーケースに選出されたベンチャーを対象とするワークショップが開催された。優秀な人材や投資環境といったグローバルで活躍するために必要なインフラが整うシリコンバレーだが、VCから投資を得るために重要なことは、製品の良さやアイデアよりも、人と人のつながりだという。

「シリコンバレーのエコシステムで日本企業が成長しグローバル化するための戦略」と題されたパネルディスカッションでは、「誰から推薦され、紹介されるかが決め手になる」とサンブリッジグループCEOのアレン・マイナー氏はアドバイスする。また、「期待に沿わないと、紹介した相手に申し訳ない」とインフィニットバイオCEOの二村晶子氏も語り、シリコンバレーのコミュニティのループ(輪)に入り、そこに同化するためのハードルの高さを説く

立派な肩書きや経歴の現地社員を探すことはそれほど難しくはないが、コミュニティのメンバーでないと全く役に立たないことも多いという。これは日本企業だけの問題ではなく、東海岸の企業がシリコンバレーでは受け入れられないケースも良くあるらしい。コミュニティの一員であることを認められることを目的に、シリコンバレーの企業をM&Aすることもありえると参加者の一人は語っていた。

そして、次の段階が現地化だ。「日本の本社に帰るとシリコンバレー流を忘れてしまう人が多い」とWiL共同創業者CEOの伊佐山元氏は語る。明治時代の日本人が外国見聞するような心構えでシリコンバレーに進出するベンチャーでは信頼を築けない。特に現地化を進めるうえでは、シリコンバレー側に任せる必要があるため、日本の代表者間との強い信頼関係が重要であるとアレン氏は強調する。そして、シリコンバレーで現地化に成功している日本発のベンチャーの例として、日本人がこの地で起業したトレジャーデータと、日本人と米国人が共同で設立し、今回の「イノベーション・ショーケース2015」の1社に選出されたクラウディアンが紹介された。

「シリコンバレーで日本企業が成長しグローバル化するための戦略」パネルディスカッション

日本発ベンチャーにとって活用したいシンポジウム

翌日開催されたJapan-US Innovation Awardシンポジウムでは、「イノベーション・ショーケース 2015」に選出された日本発ベンチャーが紹介された。チームの質、革新性、成功の確度、及びシリコンバレーとの関連性という評価基準に基づき選出されたのは、以下の5社だ。

産業革新機構の安永謙氏がモデレターを務めた「イノベーション・ショーケース」企業によるパネルディスカッションに登壇した5社のスタイルはさまざまだ。オーソドックスにネクタイとスーツで原稿を読みながら日本流に挨拶する企業もあれば、現地のCEOが登壇する企業や、Tシャツでカジュアルにプレゼンする企業もある。いわゆる日本流とシリコンバレー流が混在しており、現時点における進出度合いに、かなり差があることが伺われる

シリコンバレーに進出した理由も各社で異なる。「資金、人材、市場の全てが揃っている」、「研究領域を同じくする研究者がシリコンバレーにはいる」、「エンジニアの得意分野が日本とシリコンバレーでは異なる」といった具合だ。

本シンポジウムは、北カリフォルニア日米協会とスタンフォード大学USアジア技術経営研究センター主催ということもあり、日本発ベンチャーにとってシリコンバレーのコミュニティの一員となるためのハードルが低い。セッションの間にはネットワーキングの時間が多くとられ、スーツ、ジャケット、カジュアルな服装が混在する200名近くのシンポジウム参加者達が積極的にコネクトし合う。

さいごに、9日のワークショップでは、現地で活躍するVCから「シリコンバレーにおけるゴールが明確でない場合、会ってもお互いの時間の無駄」という厳しい助言もあったことも付け加えておかなくてはならない。この地に臨む強い心構えを持つベンチャーであれば、来年度、挑戦してみてはどうだろうか。
「イノベーション・ショーケース」への応募方法は、http://www.usjinnovate.org/のホームページで公開される。

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