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AI企業との協業によるDXプロジェクト成功のコツ

DXプロジェクトにおけるAIの役割と「AI企業」の選び方

第1回

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 私が所属しているRidge-i(以下リッジアイ)は、AI活用・開発の専門家集団として、数多くの企業のデジタル変革(DX)プロジェクトを支援しています。私自身はプロジェクトマネージャーとして無事にローンチした案件を始め、検討段階で中断されるもの、開始後に途中で中断されるもの、開発を終えビジネスでインパクトを生むものなど様々なフェーズのプロジェクトに携わってきました。本連載では、これらの経験を基に、企業がAIを活用したDXプロジェクトを成功させるためのコツを、実例を交えて解説していきます。第1回となる今回は、DXプロジェクトにおいてどのようにAIを活用すべきか、注意すべき点、必要なAI技術の入手方法、外部のAI企業をパートナーとして選ぶ際のポイントを紹介します。

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DXプロジェクトにおけるAIの役割とAI活用例

 DXプロジェクトでのAI活用を考える前に、まずはDXの定義を再確認しましょう。

 経済産業省は、DXを次のように定義しています(太字は筆者による強調)。

企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること。

 ここで重要なのは、データやデジタル技術を用いて業務を“効率化”するだけではDXとは言えない点です。DXでは、根本的な変革を行い、競争上の優位性を築く必要があります。DXプロジェクトの目的は「データとデジタル技術を活用してビジネスを変革し、競争上の優位性を確立すること」と言えるのです。

 それでは、本連載の主題である「DXプロジェクトにおけるAI活用のメリット」は何でしょうか。簡単に言えば、「AIを利用することで以前は不可能だったことが可能になること」です。他社が実現していないことの達成は、DXプロジェクトの主目的である「競争優位性の確立」に直結します。

 具体的なAI活用の主なメリットは以下の3点です。

  1. 業務の効率化と自動化
  2. データに基づく意思決定の質とスピードの向上
  3. 顧客体験の向上

 一部社名は伏せたものになりますが、DXプロジェクトにおけるリッジアイのAI活用事例を簡単に紹介します。

「業務の効率化と自動化」の事例

 リッジアイは荏原環境プラントと共同で、収集したごみを一時的に溜める「ごみピット」を撮影してごみの種類を自動判別するAIを開発しました。AIを導入することで、ごみの撹拌や焼却炉へ投入するクレーンの自動運転の精度は、AI導入前の16%から89%にまで向上しました。

 作業者はより重要な業務に集中できるようになり、ごみ焼却施設の運転効率の向上に貢献できました。

ごみピットの画像
ごみ識別AIの例
クリックすると拡大します

「データに基づく意思決定の質・スピードの向上」の事例

 大手プラントA社では、生産設備に問題が発生した場合、迅速な保全工事が必要です。頻繁に工事依頼が発生するため、人手による優先度に基づく保全要員のスケジュール割り当てには限界が存在します。この問題に対して、AIを活用して保全依頼の優先度に基づく割り当てを行うことで、人の介在によるボトルネックを解消し、スケジュールの質とスピードを大幅に向上させることができました。

「顧客体験の向上」の事例

 消費者向け製品を提供する製造業B社では、消費者が安全に利用できる製品を提供しています。しかし定期メンテナンス以外に顧客への個別サポートを提供するには限界がありました。この問題を解決するために、スマートフォンを使って製品の写真を撮影し、AIがその状態を判定するアプリを開発しました。その結果、AIの活用によりパーソナライズされた顧客体験を提供することが可能となりました。

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この記事の著者

横山 慶一(ヨコヤマ ケイイチ)

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