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自動運転の社会実装に向けたマクニカの取り組み──自動運転EVバスによる社会課題の解決と体験価値の向上

第14回 ゲスト:マクニカ 福田泰之氏

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 レベル4の自動運転の社会実装へ向け、自動運転の技術開発と実証を続ける株式会社マクニカ。ハードウェアとソフトウェアに関する技術力を強みとし、それらを活かして次世代モビリティの実装活動を通した街づくりを進めています。今回は、BtoGの事業ドメインで自動運転EVバスによる地域課題の解決を目指す、同社 イノベーション戦略事業本部 スマートモビリティ事業推進部 部長の福田泰之氏にお話を伺いました。聞き手は株式会社スマートドライブ 取締役の元垣内広毅氏です。

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マクニカがレベル4の自動運転の開発に取り組む背景

元垣内広毅氏(以下、元垣内):マクニカさんは仏GAUSSIN社とレベル4の自動運転実現を目指す新会社を設立するなど、突出した技術とその運用を体現していることが見て取れます。なぜこの領域にここまで踏み込めているのか、まずは福田さんのご経歴も含めてマクニカさんのことをお聞きしてもよろしいですか。

福田泰之氏(以下、福田):私は入社後ずっと、半導体の営業・マーケティングを担当してきました。2017年頃から社内で新たな事業の柱を開拓しようという機運が高まり、将来性を見出して取り組むことになった1つが自動運転に関わる分野でした。

 現在は主にBtoGの事業ドメイン(地方自治体)で、自動運転車両などの次世代モビリティの実装活動を通した街づくりに従事しています。単に自動運転EVバスを導入するだけでは街は大きく変わらないと考えており、その街の特長に合わせたMaaS構築を目指して、既存の交通機関と新しい交通サービスをつなごうとする取り組みです。

元垣内:単なる技術開発と実装ではなく、街づくりとセットで考えている点が興味深いですね。

福田:やはり街ごとにシナリオが異なるので、私たちはその街の様々なコンテンツを一緒に重ね合わせるような、「MaaSプラスα」を目指しています。たとえばMaaSアプリを提供する場合、乗り物に特化させるのではなく、街の中で住民の方々が様々なサービスを受けられる仕組みごと作るというものです。

元垣内:なるほど。ちなみに御社ではBtoG以外の領域でも、自動運転技術の開発を手掛けられているので、そちらも簡単にお聞かせください。

福田:たとえば工場や空港の中を自動化するBtoB事業を担うチームもあります。基本的にはBtoG向けとベースが同じソフトウェアを使っており、公道を走るのか敷地内を走るのか、人を運ぶのか物を運ぶのかなど、目的に合わせてハードが変わるというイメージです。

株式会社マクニカ イノベーション戦略事業本部 スマートモビリティ事業推進部 部長 福田泰之氏
株式会社マクニカ イノベーション戦略事業本部 スマートモビリティ事業推進部 部長 福田泰之氏

元垣内:BtoG、BtoBで自動運転に取り組んでいるマクニカさんですが、どのような背景があってGAUSSINとの新会社立ち上げに至ったのでしょうか。

福田:マクニカとしては、当時自動運転EVバスで世界的に有名なフランス旧NAVYA社の車両を以前から取り扱ってきました。2022年にNAVYAの資産を継承する話が出て、2023年にロジスティクスの分野で強い開発力を持つGAUSSINと、自動運転ソフトウェアやオペレーションソフトウェアの開発を得意としているマクニカが共同で新会社Gaussin Macnica Mobility 社をフランスで立ち上げるに至りました。

 自動運転車はGoogleやGMなど世界中の企業が競って開発していますが、巨額の投資が必要なこと、それにもかかわらず事故が起こると事業の継続が難しくなるというリスクもあります。それに対して私たちが取り組んでいるのはサービスカー領域で、ファーストマイル・ラストマイルといった特に低速の車両に特化しています。遅い速度から始めて、技術を確立させてから速度を上げていくという、“セーフティファースト”で開発を進めています。

元垣内:NAVYAを引き継いだ部分もあるとはいえ、マクニカさんが世界23ヵ国で展開している規模感にも驚きました。車両やシステムはどのように管理しているのでしょうか。

福田:ある程度車両やソフトウェアに精通しているユーザー企業であれば、自社で取り扱うことができる仕組みがサービスとして提供されているソリューションなので、私たちが各地に頻繁に通う必要はありません。また、各車両のステータスを一元管理しており、運行中に発生している車両の状態が確認できる為、トラブルの際はコミュニケーションツールでサポート対応ができる仕組みを整えています。この仕組みはNAVYAが高いレベルで備えていたもので、新会社でそれを引き継ぎ、サービスの拡張を続けています。

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この記事の著者

友清 哲(トモキヨ サトシ)

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