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富士通、量子アプリケーション開発の成果を競うコンテストを開催 受賞4チームを発表

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 富士通は、39量子ビットの量子コンピュータシミュレータ(以下、量子シミュレータ)を活用して量子アプリケーション開発の成果を競うコンテスト「Quantum Simulator Challenge」を2023年2月から9月まで実施し、受賞4チームを決定。その受賞式を、2024年1月25日にオランダのDe Oude Bibliotheek Academyで開催する「Fujitsu Quantum Day」で行った。

 同コンテストには、スタートアップや大学が17の国や地域から全43チーム参加し、その内、書類選考を通過した20チームが量子シミュレータを用いたアプリケーション開発の成果を競った。その結果、フィンランドQuanscient社の「流体力学における量子アルゴリズム開発」の取り組みが1位を獲得。コンテスト期間中の量子シミュレータ使用時間は累計で5万6,000時間に及び、エラー訂正技術を含む基礎研究成果から社会問題解決に資するアルゴリズム開発に至るまで、様々な成果が報告されたという。賞金総額は10万米ドル。

 同社は2024年以降もQuantum Simulator Challengeの開催を検討しており、量子コンピューティング分野における先進的なスタートアップとの協業をグローバルに進め、量子コンピューティング技術の社会実装に向けた研究開発を主導していくと述べている。

 現状の量子コンピュータは、ハードウェア計算におけるエラー率の高さやスケーラビリティに課題があるため、ハイパフォーマンスコンピューティング(HPC)上で動作する量子シミュレータを用いてアプリケーション開発が進められており、多岐に渡る分野で活用の可能性を模索していく必要があるという。同社はスーパーコンピュータ 「富岳」のCPU「A64FX」を搭載した「FUJITSU Supercomputer PRIMEHPC FX700」で構成されたクラスタシステムである量子シミュレータを活用し、クライアントと量子アプリケーションの開発に取り組んでいるとしている。

 なお。量子アプリケーション開発においては量子シミュレータ利用者からのフィードバックを得ることが重要なため、富士通は量子シミュレータのリソースを一部開放し、応募があった研究機関や大学、企業が様々な分野で量子アプリケーション開発を競い、そのフィードバックを得ることを目的にQuantum Simulator Challengeを開催したと述べている。

「Quantum Simulator Challenge」について

 同コンテストの開催を2023年2月に告知し、グローバルに参加を公募。スタートアップや大学を中心に、17の国と地域の43チームから応募があり、量子シミュレータ上で取り組む問題解決の革新性や社会課題への貢献性などについて書類審査を実施。その結果、20チームが審査を通過したという。2023年6月から9月にかけて、39量子ビットの量子シミュレータ上でそれぞれが設定した問題解決テーマに取り組み、コンテスト期間終了後に参加チームが研究成果のレポートを提出。レポート内容をもとに、富士通の量子研究員をはじめとした13人の審査を経て、以下の受賞4チームを決定したという。

受賞チーム

1位:Quanscient社「Quantum Algorithms for Fluid Dynamics」

 流体力学の領域に量子技術を適用し、複雑な流体シミュレーションを実行。車両/船舶/航空機の製造や生物医学で活用可能な量子アルゴリズムの開発、および計算性能の測定/評価を実現。

2位:Riverlane社「Quantum stability experiments on the Fujitsu Quantum Simulator」

 量子誤り訂正(QEC)のベンチマークの重要指標となる、量子の安定性シミュレーションを実施。量子計算のエラー(誤り)の原因となるノイズのモデルごとに量子の安定性を検証し、これまで観測されたことが無い挙動を発見。

3位:Qkrishi Quantum社/Bloq Quantum社「Optimized Quantum Kernels for Improved Credit Card Fraud Detection」

 クレジットカード不正利用の検知に量子機械学習を適用するシミュレーション。量子シミュレータをバックエンドとしたアプリケーションを試作し、保険会社もその有用性を評価。

3位:University of Naples Federico II「Interpretable and Efficient Control of Smart Cities with Quantum Computers」

 量子コンピューティングとファジー理論を組み合わせて、人間が理解出来る言語ルールをベースとしたシステムを構築。無線ネットワークや交通信号制御などのスマートシティ事例に適用。

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