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IoT時代に知財部門へ突きつけられる、メリット・デメリットを含む「三つの問い」とは?

グローバル知財戦略フォーラム2016 セミナーレポート:第3回

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 IoT、インダストリー4.0によって産業構造が大きく変わろうとしている今、企業の知財戦略も変化を余儀なくされている。今後求められる知財部門の役割は何か、それを担う人財はいかにして育てることができるのか? 2016年1月25日、「グローバル知財戦略フォーラム2016」において「IoT時代の産業生態系を見通して知財マネジメントをデザインできる人財をいかに育成するか」をテーマにパネルディスカッションが行われた。モデレーターの妹尾堅一郎氏(特定非営利活動法人産学連携推進機構 理事長)と4名のパネラーによる議論の様子をレポートする。

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IoT時代とはどんな時代か?

 パネラーとして参加したのは、江村克己氏(日本電気株式会社 執行役員)、戸田裕二氏(株式会社日立製作所 知的財産本部 副本部長 兼 知財ビジネス本部長)、浅見正弘氏(富士フイルム株式会社 知的財産本部 取締役 執行役員 知的財産本部長)、立本博文氏(筑波大学大学院 ビジネス科学研究科 准教授)の4名。まずはそれぞれが、IoTとの関わりにおける自社の状況や今後必要になる知財人材の要件について語った。

 富士フイルムの浅見氏は、IoTのT(Things)を単なる「モノ」ではなく「コト(人間の行為)」と捉えることで、今後の変化が見えてくると述べた。そのような見方をすると、「IoT時代」とは社会生活上のあらゆる行為がインターネットでつながる時代であり、異分野間の新たな結合がイノベーションを続々と生み出す時代だと考えられる。

浅見 正弘富士フイルム株式会社 知的財産本部/取締役 執行役員 知的財産本部長 浅見 正弘 氏

 つながるためにはプロトコルの共通化が必須で、それを拒めばIoTの世界からドロップアウトせざるを得ない。そのようなことから、IoTにはオープン化を強力に推進するパワーがあるが、このオープン化には2つの側面がある。他社と知識を共有することでイノベーションが加速されるという側面と、参入障壁がなくなって従来の強みが無力になってしまうという側面だ。企業としてはこの両方を考慮にいれて、「クローズ化できるコアはあるか」「それをクローズ化できるか」を考えなければいけない。浅見氏によれば、これこそが知財マネジメントの腕の見せどころとなる。

 IoTは、産業のあらゆる領域を変化させる可能性がある。それは、今まで企業が確保していた付加価値を別の場所にシフトさせるということをひき起こすだろう。付加価値を強者が独り占めするか、極めて少量ずつあらゆるところに遍在するような時代になるのだ。そうなると、富士フイルムにおいてもほとんどの事業が変化に直面することになるだろう。しかし浅見氏は、これまでシェアをとれていなかった領域で一気に逆転するチャンスでもあるという。

 このような時代の知財マネジメントを考えるときに最も大事なこととして、浅見氏は「自社のビジネス構想を生態系の中でグローバルに描き、そのための知財をマネージする人材」の必要性を強調した。

ブリューゲルの「大きな魚が小さな魚を食う」ブリューゲルの「大きな魚が小さな魚を食う」

 トークの途中で浅見氏は、「IoT時代の世界観」としてブリューゲルの「大きな魚が小さな魚を食う」と題する版画を紹介した。モデレーターの妹尾氏は、「小魚同士の争い、つまり同一レイヤー間の競合関係ではなく、生態系の中で誰が大魚のポジションを取るかということ」という解釈を示した。

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