これまでにない「事業仮説」を生み出すツール「ジョブ調査」とは何か?

 ビジネスモデルキャンバス(BMC)を書くことは手段であってゴールではない――。そうわかっていても、書いた先に事業は本当に生まれるのでしょうか? 事業が成立しそうな“匂い”のするビジネスモデル仮説を描くための実践的なヒントを前回に続いてご紹介します。

[公開日]

[著] 津田 真吾

[タグ] マーケティング 事業開発 job to be done

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ビジネスモデルに不可欠な顧客のジョブにも、“強い・弱い”がある

 前回はBMCを使ったビジネスモデルの設計や共通言語化についてお話ししました。今回は、機能するビジネスモデルに不可欠な「ジョブ」について考えていきたいと思います。ジョブは英語ではJob-to-be-done と言い、顧客のニーズを正確にとらえるために必要な視点とされています。英語圏では、twitterのハッシュタグ #jtbd が存在するほど普及している考え方です。JOBSメソッド®では、ジョブを把握しやすくするために4つの視点で顧客を理解します。

  • Job:ジョブ-顧客がやりたいこと
  • Objective:目的-ジョブの目的
  • Barrier:障害-ジョブを解決する上で障害となっていること
  • Solution:代替解決策-現在行っている暫定的なジョブの解決策

JOBSメソッド

 この4つの視点で顧客を理解することは、事業開発者や起業家でなくても、とても重要なことです。

「ジョブ」と「ニーズ」とは、何が違うのか?

 ジョブの説明をすると、「ニーズ」と何が違うのかとよく尋ねられます。「ニーズ」という言葉はあまり定義されていないので比較は難しいのですが、一般的にニーズというのはお客さんが“欲しい”ものを指します。
 しかし、ジョブでは“モノが欲しい”という前提は持たず、そもそも何が“したい”のか、という見方をします。“お客さんはドリルではなく、穴を欲しがっている” という言葉を聞いたことがあるのではないかと思います。モノを売りたいメーカーは、どうしてもドリルそのもののデザインや性能にこだわってしまいます。しかし、お客さんが欲しいのは穴です。「穴を開けたい」というのが、顧客のジョブです。

 さらに、前述したJ-O-B-Sの4つの視点で示されているように、お客さんが“したい”ジョブが生じる状況をとらえます。つまり、どういうときに穴を開けたいと思うのかという「状況」です。さらに、そのジョブの「強さ」や「必然性」も「障害」や「代替解決策」をきっかけに踏み込みます。弱いジョブに対して、人はわざわざお金を払いません。無料だとしても、それまでの代替解決策を捨てて新しい行動を取ることにはそれなりの動機と理由が必要で、人はなんとなく新たな手段に移行しません。アプリが無料だからといって使わないのと同じです。強いジョブが生じている顧客やその不満な状況をとらえてこそ新しいビジネスが成立します。

いかに顧客の行動変容をもたらすのか

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