ビジネスモデルデザイナーに必要な「鳥の目、虫の目、魚の目」という3つの視点

番外編:ビジネスモデルデザイン講座とは(前編)

 9月より、Biz/Zine主催のワークショップ「ビジネスモデルデザイン講座」を担当させていただくビジネスイノベーションハブの白井です。ワークショップ開催にさきがけて、ビジネスモデルデザイン講座の概要について前後編にわけて、少しお話しさせていただければと思います。

[公開日]

[著] 白井 和康

[タグ] ビジネスモデル ビジネスモデルデザイン

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「ビジネスモデルのデザイン」という新しいテーマ

 2年ほど前に、「ビジネスアーキテクト養成講座」という長期連載を寄稿させていただきました。おかげさまで、「有名企業から学ぶビジョンとミッションの作り方」という記事は現在でも多くの方に読んでいただき嬉しい限りです。

 上記連載において、ビジネスの構造は3つの大きなレイヤーから構成されるとお話ししました。それは、ビジネスの設計、ビジネスの計画、ビジネスの実行です(図1)。ワークショップの大きなテーマは、このうちビジネスの設計(ビジネスモデルのデザイン)に焦点を当てるものであり、新しい価値を生成/提供し、その対価としての金銭的な価値を獲得する仕組み作りを意味するものです。

 この20年の間、テクノロジーの進化、規制の緩和、グローバリゼーションという3つの要因をベースに、従来の業界の枠では考えられない新しいビジネスが次々と誕生してきました。セブン銀行をはじめとするネット銀行は、テクノロジーの進化と規制の緩和がなければ生まれてこなかったでしょう。UberやAirBnbのようないわゆるシェアリング経済の申し子と言われているデジタルサービス企業は、創業から5年前後で数十億ドルもの企業価値をもつようになりました。先月リリースされたポケモンGOの世界中への普及速度は、凄まじいものです。

ビジネスの3つのレイヤー(図1)ビジネスの3つのレイヤー

 私は、ここで「ビジネスモデルデザイナー」という新しい役割をもつ人の育成を提案したいと思います。優秀なプロダクトデザイナーやサービスデザイナーは数多く存在しますが、ビジネスモデルデザイナーと呼ばれる人々は残念ながら日本では皆無に近いと思います。私のイメージでいえば、Amazonのジェフ・べソス氏、グラミン銀行の創設者であるムハマド・ユヌス氏、日本においてはブックオフや俺のイタリアン/フレンチの創業者である坂本孝氏は、経営者であると同時に優れたビジネスモデルデザイナーです。3人に共通している点は、新しいプロダクトやサービスを作り出したというよりは、新しいビジネスの仕組みを作り出したことです。

 ビジネスモデルデザイナーは、3つの大きな役割をもつものと考えます。

  • 顧客を含む市場を観察し、新しいビジネス機会を発見すること
  • ビジネスモデルを構成する要素の組み合わせを通じて、新しいビジネスモデルを生成すること
  • シンプルなツールを用いて、利害関係者に分かりやすく新しいビジネスモデルの概念を伝えること
    また、ビジネスモデルデザイナーは、3つの異なる目(レンズ)を使い分ける必要があります(図2)。
  • 自社のビジネスの構造を遠くから俯瞰する目(鳥の目)
  • ターゲットとする顧客を近くから観察する目(虫の目)
  • 世の中の大きな動きを幅広く展望する目(魚の目)

鳥の目、虫の目、魚の目(図2)鳥の目、虫の目、魚の目

 連載「事業企画の現場で使う、ツールTips」では、ビジネスモデルデザインに役立つツール群をご紹介しましたが、ビジネスモデルキャンバス、価値提案キャンバス、事業環境マップの3つは、鳥の目、虫の目、魚の目でビジネスモデルを捉えるための最も有用かつシンプルなツールです。

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