注目の僧侶・藤田一照氏が語る、本当の意味でのマインドフルネスとは?

【特別対談】藤田一照氏 ✕ 入山章栄氏 ✕ 佐宗邦威氏:中編1

 入山章栄氏と佐宗邦威氏がイノベーションとクリエイティビティを包括的にとらえようとする本連載。今回のゲストは、曹洞宗の僧侶として神奈川県・葉山で禅を指導する藤田一照氏。藤田氏は、いま禅・マインドフルネスの世界でもっとも注目される一人であり、最近は米国Google本社やStarbucks本社で禅の講演へも招かれるほどだ。33歳から17年半にわたって米国で座禅を指導し、現在は禅の本来のあり方やマインドフルネスに関する様々な活動を行っている。著書も多数あり、中でも『アップデートする宗教』は大きな話題になった。前編では、近年の宗教や禅を取り巻く認識の世界的な変化から、西洋的・東洋的視点の違いや融合の可能性について伺った。中編1では、巷で議論されているマインドフルネスと、藤田氏が本質とするマインドフルネスに関して、U理論などの共通点などを深掘りした内容をお届けする。

[公開日]

[語り手] 藤田 一照 入山 章栄 佐宗 邦威 [画] 清水 淳子 [取材・構成] 伊藤 真美 [編] 栗原 茂(Biz/Zine編集部)

[タグ] タレントマネジメント 組織マネジメント マインドフルネス 事業開発 U理論 社会構成主義 ネットワーク フラクタル

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「禅」と「ネットワーク」の共通項から見えてくるもの

藤田:
 私は禅を考えるときにも、ネットワークという視点が重要だと考えています。たとえば、これまで話の中で出てきたものについて、共通しているものといえば、すべてネットワークであることですよね。サイズが違うだけで、脳も人間の体も、組織も、環境も…。

入山(早稲田大学ビジネススクール准教授):
 なるほど、確かにそうですね。

藤田:
 ネットワークは「働きのシステム」ですよね。モノが単にばらばらに並んでいるのではなく、その間に情報の流通が絶えずあって相互に影響し合っている。単独で勝手にやっているものはない。私たちはそれをニューロンだったり、人間だったりと単位で分けていますが、もともと宇宙が1つの卵から生まれたのだとしたら、そこに基本的な共通性があってしかるべきです。いわゆる「フラクタル構造」だと考えられるでしょう。仏教だと「一即一切」と言っています。部分の中に全体があるということですね。

佐宗:(biotope 代表取締役社長)
 まさに、前編で私が話した「社会構成主義」もフラクタルが前提でした。自分が変われば周囲も変わる、自分を変えるためには「エゴ」との付き合い方がとても大切なんだと。

藤田:
 エゴをなくすというよりは、エゴについての誤解を解消すればいいんじゃないですかね。たとえば、天動説から地動説にパラダイムシフトしても地球そのものは何も変わらない。ただ、われわれの理解の仕方がより現実に近くなっただけ。でも、見えてくるものの意味合いが全く違ってくるんですよね。エゴというものがどういうものなのか、その正確な正体を見極めればいいわけです。そうすれば、生き方が変わってくる。

入山:
 エゴの正しい在り方というのは、どのようなことを指すんですか。

藤田:
 まずは、それが大きなネットワークのごく一部であることを認識することでしょうか。多くの人が認識する自分=「エゴ」というのは、宇宙という無限大の流れから離れて孤立的にその上に浮かんでいるような状態なんですよね。それが本当は全体と切り離せないあり方をしていることを洞察することが必要です。相互浸透(inter-penetration)というのですが。

入山:
 なるほど、つまり、禅はそのつながりを見出すための方法なんですね。

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