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ムーアのキャズム理論を企業変革プログラムに導入するエックハルト氏

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イノベーティブな製品やサービスをローンチし、大きな市場へと普及・拡大するためには、乗り越えるべき「深い溝=キャズム」がある。ジェフリー・ムーアが提唱した「キャズム理論」はあまりに有名だ。そのキャズムを乗り越えるためには、何をどうすればいいのか。その答えを追求するべく多くの企業を研究し、戦略的思考のためのフレームワークとして提供してきたのが「Chasm Institute」だ。折しもセミナー開催のために来日していたマネージングディレクター、シニアワークショップリーダー、マイケル・エックハルト氏に、日本企業が新たなビジネスを創出し、拡大するための課題や解決に必要な考え方についてうかがった。

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日本企業はなぜ停滞から脱出できないのか

ジェフリー・ムーアのベストセラー『Crossing the chasm(キャズム)』の初版が米国で発行されたのが1991年。以降、ほぼ10年ごとに改訂版が発行され、日本では『キャズムVer.2』(翔泳社)が最新版として発行されている。キャズムを越えて世界的なイノベーションを起こしている事例として様々な会社が紹介されてきた。その多くは、IoTやクラウド、ソフトウェア、データ分析やウェブサービスなど、いわゆるIT分野におけるものであり、米国経済の起爆剤としても存在感を示している。

一方、日本企業からは残念ながら“これは”と思われるような世界的イノベーションが登場していない。優れた技術と勤勉な社員、そして素晴らしいアイディアを持っているにも関わらず、なぜ大きな潮流を生み出すことができずにいるのか。

エックハルト氏は「日本企業に限ったことではない」と前置きし、優れたリソースをもちながらも、テクノロジーの“次の波”を捉えることができなかった企業としてモトローラやコダック、ソニーなどの名を挙げ、その理由について次のように語る。

「優れた技術と人的リソースがあり、粛々と仕事をしていく。それは確かにすばらしいことですが、それだけではいつしか停滞は免れません。未来に向けてターゲットやリソースをフォーカスさせた明確な『マーケット戦略』が必要です。その策定をするにあたり、大きな足かせとなっている第一の要因が『過去の成功体験』です」

過去の成功のロジックがそのまま未来の成功に使えるとは限らない。しかしながら、どうしてもそれに固執してしまう傾向にあるという。結果、過去の製品の改良版などを繰り返すのみになり、革新的な製品・サービスが生まれる機会を失ってしまうというわけだ。

「そして2つ目は、すばらしい技術やアイディアに囚われ、製品・サービスの最適化に固執し、その製品やサービスが『どう使われているか』『どう使われるべきか』まで意識が及ばないことでしょう。結果、『コア・プロダクト』で成果は出せても、『ホールプロダクト』を創出するには至らない。製品づくりまでの戦略は持てても、エコシステム、ビジネスモデルの戦略まで創り出せていないというわけです」

しかし、マインドセットさえできれば、過去の成功体験を捨てて一から戦略設計をすること、そして「マーケット戦略」としてエコシステムやビジネスモデルを意識して取り組むことは、決して不可能ではない。さらにちょっとした考え方のコツやポイントをおさえれば、自身が持つ戦略を容易に明確化・明文化できるという。

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伊藤 真美(イトウ マミ)

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