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2017年は「デジタル倫理」が問われる年に:アバナード安間社長

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「デジタル」という言葉を事業の中核にすえる企業が増えてきている。従来のITの世界を見直し、デザイン思考、ビジネスモデル、ワークスタイル、経済全体までにおよぶ変革を包摂するトレンドとも言える。マイクロソフトとアクセンチュアの合弁会社であるアバナードの安間社長は、今後デジタル変革の主役になるのは、CIOではなく、CDO(チーフ・デジタル・オフィサー)であり、それは旧来型のIT部門だけではなく、企業によってはビジネス部門と経営企画といった戦略策定部門が担うべきと説く。

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デジタル変革はビジネス部門と経営企画が主導せよ

 調査会社のガートナーが今後のビジネスの潮流として「デジタル・ビジネス」を提唱した2014年ぐらいから、「デジタル」という言葉は徐々に浸透してきた。少し前まではデジタルマーケティングなどの特定分野で語られてきた概念が、最近ではビジネス全般に波及しており、IBMのようなITの大手企業もデジタルを標榜する動きが出てきている。このデジタルという言葉の背景は何か?ITとどう違うのか?
 アクセンチュアとマイクロソフトの合弁企業であるアバナードの安間社長は、デジタルという言葉が前面に出てきた背景には、大きな変革の気運があるという。

アバナード株式会社 代表取締役社長 安間 裕

アバナードはデジタルを念仏のようにいい続けてきた企業です。われわれの事業はデジタルを3つの領域として捉えています。デジタル・ワークプレイス、デジタル・カスタマー、そしてIoTなどの普及によって生まれるデジタルエコノミーの世界です。こうした時代に、これまでのIT分野でのリーダーだったCIOは、CDO(チーフ・デジタル・オフィサー)になるべきだと提唱してきました。CDOとして本当に可能性がある人材は、かつてのCIOから出てくるだけではなく、ビジネス部門や経営企画のような部門の方が適している場合があると、今は考えているのです。

 なぜ、CIOではなく、CDOなのか。そしてなぜその主体は情報システム部門からだけではなく、ビジネス部門と経営企画なのか?安間氏によれば、欧米と日本のIT投資の比率は格段の差がある。
 欧米では、IT投資は総売上の3.6%でそのうちの60%が新規の戦略投資。翻って日本のIT投資は全体平均で売上の1.2%だという。[1]

[1]: http://www.juas.or.jp/servey/it16/it16_yosan.pdf  “JUAS調査”

 ITは、日本の企業の多くにとっては「コスト」と見られている。欧米の企業にとって、ITは「投資」でありしたがって、リターンが得られるなら金額は惜しまない。IT部門のマインドセットが、コスト低減や安定運用のみに傾いている企業においては、CIOはデジタル・ビジネスの投資の主体には成り得ないというのだ。

IT部門長の人にCDOの話をしても、前向きにとらえる方とそうでない方がいらっしゃいます。多くのIT部門は、運用業務に追われていて、新規の開発も業務管理システムの改善がメイン。ビジネスの価値を生む方向には意識が向かない場合が多く見られるのが実態です。

 とはいえ、日本では業務部門や経営企画部門が投資予算をもっているわけではない。ビジネス投資の予算の執行は難しい。

最近ではマーケティング部門が主導でIT部門が関与せずにデジタルマーケティングのシステムが導入される動きもあります。また経営企画が調整能力を発揮して、各部門のニーズを把握して、受益者負担などで配分して、ROIの監視と調整をおこなうというケースも増えてきています。

 安間社長が会話するマーケターや経営企画の人たちに、デジタルはITではなくビジネスそのものなのだという。

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