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オープンイノベーションを起こす「場のデザイン」に必要な“余白”と“偶発性”とは?

SEA DAY 02 セミナーレポート「人が集う場のデザイン~"偶然の出会い"から得る気づき~」

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パーソナル屋台という場作り:マイパブリックを実現するための「趣味 × 公共」

 「1階づくりはまちづくり」というコンセプトのもと、クリエイティブな都市開発を行っている株式会社グランドレベル。今回登壇した代表の田中元子氏は、個人ができる場作りの方法として「パーソナル屋台」を提案した。

田中 元子田中 元子 氏(mosaki 代表 / 株式会社グランドレベル 代表取締役社長)

事務所の片隅にバーカウンターを作ったら、そこで友人たちにお酒をふるまうのが、生まれて初めての趣味になったんです。どうせならもっとたくさんの人をもてなしたいと思い、屋台を作って外に飛び出してみることにしました。

 田中氏は、持ち運びできる小さな屋台を制作し、街のちょっとしたデッドスペースで道行く人にコーヒーやジュースなどのドリンクを無料で振る舞う「パーソナル屋台」をはじめた。料金を一切とらないのは、この活動があくまで田中氏個人の”趣味”という位置づけだからだ。

 『嫌われる勇気』で解説されたことでご存じの方も多いアルフレッド・アドラーが提起した、「幸福三原則」というものがある。

  1. 自分を好きであること
  2. 他者を信頼できていること
  3. 社会に貢献できていること

 上記のアドラーの「幸福三原則」に倣い、田中元子の「趣味三原則」として、

  1. 自分を満たす趣味であること
  2. 他者と楽しんだり、交流したりできる趣味であること
  3. 社会や世の中の役に立つような趣味であること

というルールを掲げている。
 とくに3つめの「社会や世の中の役に立つような趣味であること」という原則は一般の趣味の概念とは様相が異なる。田中氏はこういった社会貢献性のある趣味を、第三のビールならぬ「第三の趣味」と位置づけているそうだ。

屋台を広げても、はじめのうちは誰も寄り付きません。でも時々、声をかけてくれる人がいる。そこからどんどん人が集まってきて、屋台の周りに『場』ができるんです。無料でコーヒーを振る舞うだけの趣味の屋台が、たくさんの人が集まる公共的な『場』を作ることができるんです。

 「パーソナル屋台」の周りにできる公共的な場のことを、田中氏は「マイパブリック」と表現する。個人の力でも公共的な場作りができるという証明になる事例だ。

 「マイパブリック」の事例はほかにも多数存在しているという。公園の地面に水を使って動物の絵を描いている人、コンビニを無料で開放してDJイベントを開催している人、生け垣にタバコの吸い殻がポイ捨てされるため、あえて灰皿を置き喫煙所を提供している人。個人が自発的に行った場作りによって、多くの人が集まり偶然の出会いと交流が生まれる。まちづくりは、大きな組織や顔の見えない権力以外でもできることなのだ。

『パブリック』とは、いろいろな人が出会う可能性があると同時に、どんな人でも存在することが許される場所のことです。人々がお互いに許し許されている、幸せな空間なんです。公共的であることは幸福であることとイコールだと言っても過言ではないと思います。

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「偶然の出会いの場」を生み出すために必要な“余白”と“偶発性”

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【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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