新しい組織は「階層構造」から「共同体」になり、リーダーは「ファシリテーター」となる

共創し学習する新しい組織論:第2回

 組織論の領域でも、これまでにコラボレーションを促進し、経験からの学びを活かす組織のあり方は研究されてきた。これらの研究では、旧来の階層構造とは異なる「共同体(community)」として組織を捉え直す研究が展開されている。前回のコラムの流れを受け、第2回のコラムでは、「実践の共同体(community of practice)」と「協働する共同体(collaborative community)」という二つの共同体についての議論を紹介し、「コラボレーションの促進」と「経験からの学び」がどのように可能となるのかを考えていきたい。

[公開日]

[著] 宇田川 元一

[タグ] ワークスタイル 事業開発 実践の共同体 community of practice 協働する共同体 collaborative community

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組織をプロセスではなく、「実践の共同体(community of practice)」として捉える

 1990年代にマイケル・ハマーとジェームス・チャンピーによって、「ビジネス・プロセス・リエンジニアリング(BPR)」という考え方が提示された。これは、ビジネス・プロセスを合理的に再設計しようという考え方であった。旧来の延長線上ではなく、新しく組織を作り直そうとするこの取り組みは、様々な企業で改革のために実践されたが、結果的には組織は大きく混乱し、上手く行かない事例が多数見られるようになった。ロジックとして正しいはずのものがどうして機能しないのだろうか。それは、離れたところから観察可能なロジックだけで組織が動いているわけではないからである。

 このロジック以外の組織を動かすものについて、ゼロックスのパロアルト研究所のジョン・シーリー・ブラウンやエティエンヌ・ウェンガーらは、実践の共同体という新しい概念を提示していた。彼らは、組織にはロジックで構成された「プロセス」とは別に、実践(プラクティス)の次元があると指摘する。この議論を支えるのは、新しい学習理論である。旧来の学習についての考え方は、正しい知識を頭のなかにダウンロードするような認識論に基づいていた。しかし、ウェンガーが教育学研究者のジーン・レイヴと共に行った研究では、人々は、それぞれが埋め込まれた状況の中で何かを学んでいるということの発見に基いていた。そして、後の研究から、そうした状況は、組織における非公式な繋がりにおいて作り出されることが分かってきたのである。

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