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イノベーション先進国デンマークに学ぶ、組織を“イノベーション体質”にするために必要な5つのこと

[公開日]

[語り手] 原 節子 山田 聰 大本 綾 [取材・構成] 岡田 弘太郎 [写] 和久田 知博 [編] 栗原 茂(Biz/Zine編集部)

[タグ] 事業開発 ビジョン クリエイティブ・リーダーシップ チームビルディング 多様性 クアトロ・ヘリックス 自律的な組織

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デンマークに学ぶ、「イノベーション体質」に進化するための5つのステップ

――デンマークの公共施設の取り組みや、ビジネスデザインスクールの「カオスパイロット」での学びから得られた知見とは、どのようなものになるでしょうか。

山田:
 日本企業を“イノベーション体質”に変えるために、デンマークで学べたことは、大きく「5つのプロセス」に整理できるのではと、両社で話しています。まず気づきがあったのは、「他人同士はわかりあえないのだ」という認識をしっかりと持つこと(ステップ1)から始めていること。「イノベーションを生み出すためには多様な人材から構成されるチームが必要だ」というポイントはよく聞かれると思うのですが、そうして集った多様な参加メンバー同士は「まずわかりあえてない状態にある」という視点に立つ。その視点に立って始めて、メンバーの相互理解や共感、共通ビジョンの構築に向かえるんです。

原:
 そして、その次が、「自分自身について知る」ことの重要性(ステップ2)です。チームビルディングにおいて、自分のことを他者に理解してもらうには、自分について深く知ることが不可欠です。「自分は何者なのか」を徹底的に掘り下げ、言語化していきます。それをチーム内で共有することで、相互理解を促します。

大本:
 カオスパイロットでは、一緒に学ぶチームのキックオフ時に、自分の「DNA」を持ち寄るというワークを行っています。「あなたを表すものをひとつ持ってきてください」というお題のもと、自分を表すものを初回の授業に1つ持っていきます。私の場合は、行動力が自身の強みだと思っていたので、踏み出すことを伝えるために「靴」を持っていきました。

 そして、自分のDNA、バックグラウンドや価値観をあらためて内省したうえで、「お互いを知り合う」という段階(ステップ3)に進みます。上記のワークの続きでは、チームのDNAづくりを行いました。「チームで4つの価値観を創ってください」というお題を与えられ、ルールメイキングを行います。チームで決めたルールは、価値観の異なるもの同士が協働する際の羅針盤になり、チームの結束を強くします。

原:
 チーム内で互いの価値観を共有することは、本当に大切です。チームメンバーの相互理解が進むことで、信頼が生まれていくんですね。先日発表された、Googleが自社内の創造的なチームについて調べたリサーチでは、創造的なチームに共通するのは「安心・安全」と結論づけていたそうです。チームメンバーが「このチームなら安心して、どんな課題にも挑戦できる」と思うために、信頼構築はとても重要なんです。

山田:
 チーム内で互いのDNAを共有したうえで、「では、このチームで何を実現したいのか」「どのような未来を創造できるのか」というビジョンや目的を構築(ステップ4)します。

 まず「ここには多様なメンバーがおり、まだわかりあえていない」ということを認識し、「自分自身を知り」「お互いを知り合う」。そうしてチームで共有できる目的やビジョンを創り上げる。面倒に思われるかもしれませんが、こうした土台づくり、創造的な関係性(クリエイティブ・リレーションシップ)づくりを行ったうえで、具体的なプロジェクトに取り組んだり組織をスタートさせたりすることが、個々人が主体的に動き、互いを信頼し合って共創する「イノベーション体質なチームに進化する」(ステップ5)ために大切なのではと考えています。

クリエイティブ・リレーションシップ

大本:
 ただ、補足させていただきたいのですが、「5つのステップ」とは言いながら、これは私たちの気づきのポイントをまとめたもので、この通り進めればよいマニュアルのようなものではないとお考えください。カオスパイロットでは、どんな個人やチームにでも適用できるような、リーダーシップを発揮するための共通の方法論は存在しないと考え、その人やチームに特有のアプローチを探っていきます。不確実性の高い時代には、既存のフレームワームをそのまま使っても、課題を解決することはできません。状況に応じてフレームワークを構築していく必要があります。

 私たちがイノベーションをサポートする際には、プロジェクトの各プロセスで、自己や他者との「対話」を行うことを必ず組み込んでいます。自分の中で取り組んでいるプロジェクトに対して違和感やイライラがあればそれを言語化して、チームで共有し、必要に応じてプロセスやフレームワークを見直します。チームの中の課題を解決して始めて、ブランドや社会の課題解決に取り組めると思っています。

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