『シンギュラリティは怖くない』著者が語る「AIとの幸せなつき合い方」とは?

未来学者レイ・カーツワイルが「2045年には人工知能が人間の知能を追い越す」というシンギュラリティという考え方を述べて以降、人工知能をめぐる様々な議論が巻き起こった。そんな中、『シンギュラリティは怖くない』という本を出したのが、GLOCOM准教授/主任研究員の中西崇文さん。自ら「作曲するAI」や「会議の生産性を測るAI」の開発もおこなう中西さんが考える「人と機械の幸福な関係」について話を聞いた。

[公開日]

[取材・構成] 京部康男 (Biz/Zine編集部)

[タグ] AI・機械学習

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ちょっと落ち着いてAIについて考えてみる

シンギュラリティは怖くない
『シンギュラリティは怖くない:ちょっと落ちついて人工知能について考えよう』
(中西崇文著 草思社  Amazonへのリンクはこちら

『シンギュラリティは怖くない』(草思社)という本を上梓した中西さん。「落ち着いてAIについて考えてみれば、機械と人間の関係を心配することはない」という。

「この本では、人工知能についてちょっと落ち着いて考えれば、人間を困らせる人工知能は存在できないのだから怖がる必要はない。人間も人工知能に手助けをしてもらうことで、余暇を手に入れたり、知見を得たりすることが出来るので、希望が持てる」ということを提唱しているんです。」(中西氏)

一見、楽観的にも思えるタイトルの本だが、この本に書かれた内容は深い。2045年のシンギュラリティを待つまでもなく、今すでにAIの能力は人間に追いついていて、われわれはその飛躍的進化に気づいていないという意見も込められている。

今、そこにあるシンギュラリティ

中西崇文
中西崇文氏
国際大学グローバル・コミュニケーション・センター准教授/主任研究員。デジタルハリウッド大学大学院客員教授。1978年、三重県伊勢市生まれ。2006年3月、筑波大学大学院システム情報工学研究科にて博士(工学)の学位取得。情報通信研究機構にてナレッジクラスタシステムの研究開発、大規模データ分析・可視化手法に関する研究開発等に従事。2014年4月より現職。専門は、データマイニング、ビッグデータ分析システム、統合データベース、感性情報処理、メディアコンテンツ分析など。著書に『スマートデータ・イノベーション』(翔泳社)、「シンギュラリティは怖くない:ちょっと落ちついて人工知能について考えよう」(草思社)がある。

「シンギュラリティはもう起きているとも言えます。AIを汎用型と特化型に分けた場合、特化型の面ではすでに人間を追い越している。そのことにわれわれはあまり驚いていないという現実があります。」(中西氏)

AIをめぐっては、「強いAI」「弱いAI」という議論が昔からある。あくまで人間の脳を代替できる汎用的なAIをめざすという考え方も根強い。しかしながら、実際は、現在ほとんどの研究者が特化型人工知能を研究しているとみていい。
特に、米国などで追求されているのは、Googleの囲碁のAI「アルファGo」などの特化型のAIだ。そしてこの分野では、シンギュラリティを待つまでもなく機械は人間の能力を凌駕しているというのが中西さんの主張だ。

「われわれはもうすでにシンギュラリティに直面していて、そのことに気づいていないと言っても過言ではないんです。」と中西さんは言う。

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