リクルートテクノロジーズが「アドバンスドテクノロジーラボ」開設、VRなど先端技術環境を無償で貸与

株式会社リクルートテクノロジーズは6月15日、東京の広尾の「アドバンスドテクノロジーラボ(ATL)」を開設し、プレス向けの紹介イベントを行なった。VRコンテンツ制作用機材やクロマキー、モーションキャプチャーなどの先端技術環境を、会員が無料で利用することが出来るとともに、制作したコンテンツやデータの権利も利用者が所有できる。

[公開日]

[著] BizZine編集部

[タグ] VR

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ビジョンは“共進化”

「リクルートテクノロジーズは2012年の設立以来、VR、ARなどの実証プロジェクトやプロダクトの開発などを、他社とのコラボレーションで行なってきたが、先進技術を追求するために必要な最先端の環境が高額であることに対して、もどかしさを感じてきた。このラボをアイデアを持つ学生やベンチャーのエンジニアなどに無償で使ってもらい、先端技術による新しい価値を追求する場にしていきたい。」

こう語るのは、ATLの所長でありリクルートテクノロジーズの執行役員の米谷修氏。CTOとしてリクルートのIT戦略を統括してきた立場だ。

今回のアドバンスドテクノロジーラボ設置の目的は、リクルートテクノロジーズの先端技術の「探索」だけではなく、「用途開拓」や「より実践的な技術活用」であり、そのためにこれからの研究開発をおこなう企業のエンジニアや学生などに、機材・設備を無料で提供する。オープンイノベーションを掲げるスペースは最近数多く生まれているが、アドバンスドテクノロジーラボはリクルートの社内外を問わず気軽にエンジニアやクリエイターが参加でき、リクルートのビジネスへの還元を短期的には追求していないことが特色で、コンセプトは「共進化」だと米谷氏は言う。

新しい機材の市販価格

「ここでは共生だけではなく、共進化を追求します。ハチドリは蜜を吸うために嘴が伸び、蘭の花も形が変わりました。双方が進化していくという関係を目指します。」(米谷氏)

成果物もユーザー会員のものになる

エンジニアタレント 池澤あやか氏/株式会社リクルートテクノロジーズ 執行役員CTO ITソリューション統括部 統括部長 兼 アドバンスドテクノロジーラボ 所長 米谷修氏

紹介イベントでは、エンジニアタレントでもある池澤あやか氏と米谷氏とのトークも行なわれた。池澤氏は、プログラミングなどにも精通し、慶応技術大学では映画制作などの経験もあり、VRやクロマキーには興味があるという。

「実際に制作したコンテンツの所有権はどうなるのか」といいう池澤氏の質問に対し、「リクルートがその成果物の権利を主張することは、考えていない」と米谷氏は答える。

「腹黒いところがまったくないのが不思議」(池澤氏)
「芸能界で苦労されてるんですか(笑)。こちらはとってもホワイトです」(米谷氏)
という和やかなやり取りで話は続いた。

アドバンスドテクノロジーラボで設備を使用することで生まれたコンテンツやデータは、外部に販売するなどビジネスに利用することも自由で、実際にVRコンテンツや3Dのモデリングデータなどは販路を提供することも出来るという。
また、リクルートテクノロジーズ自身が、成果物を紹介し広報・PRを支援してくれるというのも利用者のメリットとなる。

モーションキャプチャー、クロマキー、バックアップPC型VRなどの先進環境

現在アドバンスドテクノロジーラボの機器にはハイスペックPC、Oculus Rift、HTC VIVE、Microsoft HoloLensなどがあり、会員は自由に使うことが出来る。
また機材としては、「モーションキャプチャー」や「クロマキー」の設備、VR専用に設計された他機関装置「SIMVR」などがある。

アドバンスドテクノロジーラボ設備
クロマキーとVRによる「四季の世界遺産ドライブ」を体験する池澤あやか氏
モーションキャプチャ体験ブース

リクルートはデジタルマーケティングやビッグデータ、機械学習、AIなどの先進的な取り組みも行なってきている。今回のラボで培うコンテンツのデータと、事業分野でのデータサイエンスとの関係はどうなるかを、米谷氏とアドバンスドテクノロジーラボの櫻井一貴氏に聞いた。

「ここではモーションキャプチャーやクロマキーのような理解しやすいアウトプットを出すのが目的。VR、ウェラブル、IoTなどで、実際にモノを作り、外部に公開してフィードバックを得ていきます。リクルートのビジネスに直結するような分析はビッグデータ部でやり、すぐには事業につながらない課題はアドバンスドテクノロジーラボでやっていきます。両方兼務しているメンバーもいるので、随時連携していきます。」(櫻井氏)

また企業の中の新規事業担当や企業内スタートアップの人の利用についても、米谷氏はこのように勧める。
「大きな会社のR&Dはいろいろ制約があるし、予算的にも難しかったりするので、ぜひこの場所でトライしてほしい。」(米谷氏)
リクルートテクノロジーズとして、これまでのメディア事業にとらわれない先進技術の場として活動していく拠点となる。今後、広く利用者を募集していくという。

リクルートテクノロジーズ 執行役員 CTO 米谷修氏/アドバンスドテクノロジーラボ 櫻井一貴氏