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BuzzFeed編集長古田さんとウミーベ代表カズワタベさんが感じる福岡の魅力

7/8 FCCキックオフイベント開催:「恋する」×「働く」~見つけるわたしの福岡暮らし

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ワークライフバランスの充実や新たなビジネスチャンスを求め、首都圏から地方都市へのU/J/Iターン転職者が増えているという。福岡市もまた「福岡クリエイティブキャンプ(FCC)」のプロジェクトを立ち上げ、クリエイティブ人材の転職・転地支援を開始している。7月8日(土)には2017年度のキックオフミーティングが開催され、福岡市へのU/J/Iターン転職者や福岡市内企業の代表者が登壇し、福岡で働く魅力についてアピールした。本稿では第一部の、福岡出身のBuzzFeed Japan 編集長 古田大輔氏と、福岡でスタートアップに成功したウミーベ(株)代表のカズワタベ氏によるトークセッションの模様をお届けする。

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「福岡への思いは募るばかり」の古田さん、移住ベンチャーとして躍進のカズさん

——まずは自己紹介として、福岡とのゆかり、そして仕事について紹介ください。

古田:
私は福岡市東区箱崎出身で大学入学とともに上京しました。ちなみに予備校は代々木ゼミナール博多校です(笑)。朝日新聞の社会部に所属していた頃、2007〜2008年には福岡への勤務経験もあります。デジタルニュースをやりたくてBuzzFeed Japanに転職し、現在は東京で勤務しています。BuzzFeed自体は現在の読者数は1年で1600万人を超え、今も伸び続けています。バイラルを推進力にしたメディアとして急速に成長しており、忙しい毎日を送っています。東京で仕事をしながらも、福岡への思いは募るばかり。今日は、その思いを余すことなく皆さんにお伝えできればと思っています。

BuzzFeed Japan 編集長 古田 大輔氏
1977年生まれ、福岡県出身。2001年早稲田大学政治経済学部卒、2002年朝日新聞社入社。京都総局、豊岡支局、社会部、アジア総局(バンコク)、シンガポール支局長、デジタル版の編集などを経て、2015年10月16日にBuzzFeed Japanによる新メディアの創刊編集長に就任。

カズ:
私はもともと2011年くらいに東京でITベンチャーを立ち上げたのですが、失敗してフリーランスになり、2013年に福岡に移住してきました。9ヶ月後の2014年8月に、ウミーベ株式会社を立ち上げて、今に至ります。「釣りを、やさしく」をビジョンに事業を展開し、「ツリホウ(釣報)」は月間200万 PVを超え、2015年にリリースした、釣った写真をシェアし合える SNSアプリ「ツリバカメラ」も急成長中です。

オフィスは福岡移住計画が運営するシェアオフィス「SALT」の中にあり、「ウミーベ食堂」と名付けたキッチンで、自分たちで釣った魚をさばいて食べることも多いです。のんびりした印象をもたれるかもしれませんが、あくまでベンチャーとして東京と同じビジネスのスピード感で、それを福岡の郊外の恵まれた環境で取り組んでいるというところです。そもそもベンチャーって渋谷の雑居ビルなどが多いと思いますが、合理的な理由なんてないんじゃないかと。当社も、インターネットが主戦場で、かつ流す情報も東京だけのものでもないので、地代の高い東京でやる意味がない。それで福岡にやってきました。

ウミーベ(株) 代表 カズワタベ氏
1986年長野県生まれ。東京で音楽活動を経て、スタートアップの創業に関わり、2013年に福岡に移住、2014年8月ウミーベ株式会社を設立。「釣りを、やさしく。」をコンセプトに、ITやデザインを活用した釣り人向けサービスを展開している。現在は釣り人向けスマホアプリ「ツリバカメラ」、国内最大級の釣りの情報サイト「ツリホウ」を開発運営。

職住近接だから、安く楽しく飲めて終電も気にしない!

——古田さんは福岡ご出身、そしてカズさんは長野県ご出身ですがIターンで福岡にいらっしゃる。そんなお二人の「福岡のココが好き」というところを教えていただけますか。

古田:
単純で恐縮なんですが、「美味しくお酒が飲める街」というところでしょうか。生まれ育った土地なので知り合いだらけだし、街がコンパクトなので合流しようと言われればすぐに合流できる。東京は銀座で飲んでいて「新宿に来ない?」といわれても面倒で無理だけど、福岡なら歩いて行けますから。とにかく“楽”なのが一番の魅力です。福岡の人の飲み方って「長っ尻」なんですよ。朝日新聞の記者時代に、全国チェーンの立ち飲み屋さんが取ったデータをもとに記事を書いたことがあったんですが、とにかく全国的にも飲んでいる時間が長い。東京なら、立ち飲み屋だったら、30分で回転するところが、福岡では2時間以上だというんです。立ち飲みなのに。

その理由の1つは「単身赴任者が多い」こと。部屋に戻るのが寂しいんでしょうね。そして街がコンパクトなので「終電を気にしない」。タクシーで帰れる範囲に住んでいることが多いですから。あとは「隣の人としゃべる」ので、1人で飲んでいても楽しいんですよね。これは屋台文化の影響だろうという指摘もあります。あとは、つるみたがるのも福岡県人の傾向ですね。パリで飲んでも、ロンドンで飲んでも、福岡県人同士で飲みたがる。土地のつながりが非常に強いんです。

カズ:
確かに、飲む時間は長いです(笑)。東京でも、時間の調整がつくフリーランスは、けっこう遅くまで飲んでいることもありますが、福岡では普通の会社員が2〜3時まで飲んでいますから。終電を全く気にしていないですよね。ちなみに福岡の平均通勤時間は34分、東京だと54分だそうです。ほとんどがタクシーで帰れる圏内に住んでいますし、独身者は街の中心部に住んで職住近接であることが多いですよね。

溢れる地元愛!すぐになじめるフレンドリーさが魅力

カズ:
福岡の魅力はとにかくフレンドリーさにあるんじゃないでしょうか。福岡に来てから2~3ヶ月は毎晩飲み歩いていたんですが、そこであらかたいろんな人とつながった感じです。もちろん個人差はありますが、知らない人に対して本当にオープンマインドで親切なんですよ。

古田:
そう、先ほど福岡県人同士で飲みたがり、土地のつながりが非常に強いと言いましたが、福岡出身以外の方も安心してください。福岡の人は、福岡が好きなあまり、他から来た人でも特に「福岡を好きな人」のことが大好きなんです。福岡のことを「よかろ?よかろ?」って言って、押し付けがましいくらい(笑)。屋台で飲んでいて東京から来たと言うと、たいてい「よかろ、福岡?」って聞かれますもんね。

カズ:
あるあるですね(笑)。福岡の人は地元がめっちゃ好きですよね。先日、あるアンケート調査でも出ていましたけど、日本で一番地元が好きらしいじゃないですか。京都よりも上だというので、驚きました。地元が好きだし、さらに地元を好きになってくれる人が好きなんですよね(笑)。移住者も、福岡が好きで移住してきたわけですから、とにかく歓迎されるんですよ。

コンパクトシティで便利、自然との近さもストレスフリー

カズ:
福岡って博多〜天神あたりが中心地としたら、タクシーなら1000円程度で移動できるんです。街がコンパクトだから、仕事での移動もしやすいし、人に会いやすい。さらに自然まで近いのも嬉しいですよね。私が好きなのは芥屋というところで、福岡市の隣の糸島市にあるんですが、車で高速道路を使えば40分ほどで行けます。海がきれいで、もう、釣りには最高です。

古田:
このくらいの透明度の海に東京から行こうとしたら、伊豆の下田あたりですか。とても日帰りはできない距離ですよね。芥屋だったら、日帰りはもちろんだけど、半日でもけっこう楽しめますよね。

カズ:
あと、山も近いから、週末のアクティビティは本当に充実しています。こんなふうに海や山といった自然に近く、通勤や仕事の移動も短時間でいいし、飲みに行くのも便利。ストレスがかなり軽減されるのを実感しますよ。

あと、古田さんもおっしゃっていますが、飲むだけでなくて食事がおいしくて安いのも魅力です。私のおすすめは「小野の離れ」のランチ。新鮮な海鮮ランチが1500円で福岡としては高めですが、今のところここが最強だと思っています。だから、東京からお客さんが来たら予約して連れていくんですよ。きっと同じレベルなら東京では4~5000円はするんじゃないかと思います。これも海が近いというのが、大きな理由でしょう。

ちなみにうちのオフィスからも海が見えて、時々魚がはねると辛抱できなくなったスタッフが釣り竿を片手に走っていきますよ。雰囲気としては、東京からちょっと離れた鎌倉にオフィスがある感じでしょうか。でも、断然家賃は違いますけどね。

インターネットで仕事がしやすく、生活環境は大幅に改善。

——いろいろ福岡のイイところが出てきましたが、実際に仕事をして、生活するメリットというのはどのようなところにあると思われますか。

古田:
場所としての福岡の将来性、ポテンシャルは、かなり高いと思います。物価が安くてコストがかからず、住みやすいという意味ではもちろんですが、仕事という観点からも様々なメリットがあるのではないでしょうか。そもそもインターネットのおかげで、東京からサービス発信をする必要性がないものって、けっこうあるんですよ。となれば、東京に固執する必要はないですよね。

統計的には収入は東京の8割程度に下がると言われています。たとえ2割収入が減っても、物価や通勤時間等で十分相殺できるし、ストレスはかなり減ります。金銭的な余裕は福岡の方が生まれやすいと思います。

カズ:
家賃を下げずに移住したんですが、同じ家賃で断然広さが変わりました。東京に比べて断然福岡には「余白」がある。物理的なスペースに余裕があって、スタートアップで人をどんどん増やしても、スペースのコストがさほど響いてこないのはありがたいです。たとえばクリエイターの人も東京ではもてないようなアトリエをもつことができるんです。

あとはビジネスとしても、東京で当たり前のものも福岡にはまだ足りていないことが多いので、チャンスは多いと思います。たとえば、広告系のデザイナーやマーケター、あと特に足りないのは広報・PR 系の人材です。もし、その世界で日本一を目指すなら、東京でしのぎをけずってやればいいと思いますが、そうでないなら福岡ではゆとりを持ちつつ、ちょっとがんばればトップになれる。たとえば、私なんかがその象徴で、東京ではこんなイベントに呼ばれないですよ。もっとすごいスタートアップを立ち上げた人がたくさんいますから。

でも、そんな私でも福岡でスタートアップを立ち上げたからこそ、こうしていろいろ呼んでもらえるし、注目してもらえる。東京ではどんなにユニークな人でも一定いるのでコモディティ化しやすい。福岡なら自分のポジションを独自につくれるという強みがありますね。

——現在のビジネスモデルは、福岡で考えられたんですか。

カズ:
いいえ、東京で考えたうちのアイディアの1つです。もともとシンプルに住環境が気に入って福岡に移住しようと思っていたので、福岡でのスタートアップも決めていました。他のものは東京での成功率が高いと感じましたが、釣り関連のサービスなら別に東京でなくてもいいなと。むしろ、総務省の釣り人口の割合を調べると東日本より西日本の方が多かったこともあり、福岡でやる意味があると思ったんです。

現在メンバーは、Iターン、Uターン、J ターン全員いますね。とにかく生活コストが低くて、いまは家賃が4万円で車も所有していますが、駐車場が月6千円ほど。東京だと4万円が駐車場代に消えますからね(笑)。

より濃密に目的的に。変わる東京との付き合い方

——福岡に住みながら仕事を充実させていく上で、どうしても東京とのつながりは保つ必要があると思いますが、どのような付き合い方をなさっているのでしょうか。

カズ:
仕事の有る無しに関わらず、月1〜2回は東京に行きますね。もともと東京には長かったので古い友達がたくさんいるというのはありますが、メディアに載っていない情報に触れるというのが主目的です。それからメディアはほとんど東京に集中しているので、そのリレーションづくり、後は時々採用、あと株主が東京にいるので打ち合わせですね。それらにかこつけて出張を入れて、毎晩飲んでから帰ります。

あとはカンファレンスや打ち合わせ等で、東京のいろんなトップランナーの話を聞くようにしています。福岡だけにいるとどうしてもそうした情報に疎くなりますから。

古田:
私が福岡で記者をやっていた時は、東京に取材対象者がいて上京することが多かったですね。仕事以外でといえば、やはり講演やカンファレンスなどの勉強のためというのが多いんじゃないですか。私も毎週のように、こうした場でゲストスピーカーとして話すことが増えたのですが、福岡から聞きにくるという人がけっこう多いです。メディア系イベントや勉強会は福岡だと絶対的に数が少ないですから。東京に出て情報交換をしたり、新たなコネクションをつくったりしなければならないと聞きました。

でも、そこで感じるのが、逆にそこにビジネスチャンスがあるんじゃないかと。そういうイベント等を福岡でオーガナイズできるような「Peatix」の福岡ローカル版とか、絶対需要があると思いますよ。

カズ:
その意味ではキュレーターが必要だと切に思います。すごく有名ですごい人って、福岡にも来るんですよ。でも、まだ若くてこれからという人はなかなか来ないですね。やはり集客が見込めないと思われるからでしょう。だから、キュレーションが可能な場なのか、人なのか、それが確立したら「あそこで呼んでいるなら観に行ってみよう」となるサイクルができるのではないかと思います。

古田:
そのニーズに気づいたら、おそらく増えるでしょうね。参加費をきちんと取れば、福岡の方が安くイベントを開催できるので、その分を有名な人を呼ぶ資金とできるんじゃないですか。そういうのを定期的に開ければ、「福岡では最新の知見を得ることができなくなるんじゃないか」と思っている人の懸念も解消されるのではないかと思います。

カズ:
そんなに頻繁に東京に行ったり、イベントに参加したりしていたら、生活費が安いとはいえやりくりが大変なのではという疑問もあるでしょう。でも、幸いLCCというものが普及していまして(笑)。往復2万円程度で行き来できますし、福岡はかなりその恩恵を受けているのではないでしょうか。それに遠くから来たと言えば、大抵の方は融通を聞かせてくれるので、東京では分散しがちな打ち合わせも大変効率的にできますし、飛び込み営業や無駄なアポが入らないです。その意味でも集中して仕事ができるのはいいですね。結果として、生活を充実させながら、仕事は効率的に進められて、たとえ経済的にはとんとんになったとしても質は確実に向上すると思います。

福岡なら「とりあえず移住」でもなんとかなる

——これから福岡に移住されたいと考えている方に、メッセージがあればいただけますか。

古田:
私は住んだことがあるのが国内外で6都市。旅行なら43カ国を巡って100〜200の街を訪れたことがあります。でも、最終的に住みたいと思っているのは、断然、福岡ですね。職住が接近していて、飲食街も充実して食べ物がおいしく、自然も近い。そんな都市は世界的にも見てもないですから。

カズ:
私も7都市に住みましたが、圧倒的にバランスがいい街ですよね。地方都市にありがちな排他的なところがなくて、外から来た人に対する苦手意識がない。私自身は移住するまでに2回しか行っていないんですが、それがすぐにわかるくらいの街はそうないでしょう。実際、移住しても問題はまったくありません。まず移住をしてしまえば、福岡ならなんとかなると思うので、ぜひまずは来てみていただければと思います。

——「まず、福岡に移住しましょう」ってことですね(笑)。福岡の魅力が存分に伝わったかと思います。ありがとうございました。

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伊藤 真美(イトウ マミ)

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