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社会課題を起点としたイノベーションのための実践的プログラム「Hacking for X」とは?

スティーブ・ブランク氏来日セミナーレポート【後編】

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 アントレプレナーが方法論を学ぶための最初の書籍『アントレプレナーの教科書』でおなじみのスティーブ・ブランク氏。連続起業家としての活動ののち、スタンフォード大学、カリフォルニア大学バークレー校ハース・ビジネススクール、コロンビア大学等で顧客開発とアントレプレナーシップについて教鞭にとる氏は、最近ミッションドリブンなイノベーションを生み出すための教育法Hacking for Xを開発した。5月20日にブランク氏が6年ぶりに来日。2014年から大企業でのリーン・スタートアップ導入を推進してきた先駆者であるラーニング・アントレプレナーズ・ラボ株式会社、一般社団法人Japan Innovation Network (JIN)共催のセミナーで、Hacking for Xが生まれた経緯とその内容を紹介した。

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毎年700億ドルの投資が無駄になっていたアメリカ国立科学財団を救ったプログラム

 アメリカ国立科学財団(National Science Foundation、以下 NSF)という、医療分野以外の科学と工学のために毎年700億ドルを投資する機関がある。1980年代に、この機関は新しい事業創出のために巨額の投資を行なうと発表した。多くの科学者が参加したが、ほとんどの起業が失敗した。なぜなら、科学者というものは、良いテクノロジーさえあればいいと思っているからだ、とブランク氏は指摘する。

科学者は、『新しいテクノロジーですよ。すごいでしょう。買いますよね?』といった意識でいるんです。プロダクト・マーケット・フィットを考えていないのです

 世界レベルの科学者、テクノロジストがいても、アントレプレナーの助けがなければ起業は成功しない。科学者は商業の世界には無関心だった。

 その頃、スタートアップに関しては、リーンスタートアップ、インキュベーター、アクセラレーターなどさまざまな方法論やエコシステムが出現し始めた。そこでNSFは、科学者に商品化の基礎を教えるプログラムを提供すればいいのではないかと思いつく。

 それがブランク氏による、I-Corpsというプログラムである。ブランク氏らは、科学者が大学のアドバイザリーボードになるのではなく、今後100年の工学と科学の商品化に影響を与える人になってほしいと考えた。そこで、リーンメソッドやビジネスモデルキャンバスを活用する講義を行なうことになった。

 ブランク氏は若い科学者たちに、価格とは何か、チャネルとは、顧客とは、といったビジネスモデルの一部を教えた。科学者たちはこういったものにまったく無頓着だからである。そして10週間ほどの授業で、毎週外に出て10〜15人の顧客やパートナー、ステークホルダーと話をする。さらに毎週MVP(Minimum Viable Product、顧客に価値を提供できる、最小限の製品)を作る。こういった授業だった。

 これが話題となり、I-Corpsをブランク氏はスタンフォードをはじめとするさまざまな大学で教えることになった。今ではアメリカの90の大学でI-Corpsの授業が行なわれ、600以上のスタートアップが誕生し、2.5億ドルを資金調達した。

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