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リバネス丸氏と投資家蛯原氏が語る、大企業が“短期では儲からない”ディープテックに投資する意味とは?

ゲスト:株式会社リバネス 代表取締役 グループCEO 丸幸弘氏【後編】

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 『テクノロジー思考 技術の価値を理解するための「現代の教養」』(ダイヤモンド社)の著者である蛯原健氏と、リバネス代表取締役 グループCEOの丸幸弘氏による対談。前編では、丸氏の共著『ディープテック』(日経BP)のテーマであるディープテックと東南アジアの可能性が語られた。後編では、サステナビリティや社会課題の解決のための投資を加速する方法はあるのか、特に大企業はディープテックとどのように付き合えばいいのかについて、丸氏の実践から探った。

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大企業が“短期では儲からない”ディープテックに投資する意味

蛯原健氏(リブライトパートナーズ 代表取締役、以下 敬称略):社会課題解決型のスタートアップを支援するとき、ステークホルダーのひとつに大企業がありますよね。丸さんは、大企業とベンチャーをどうやってつなげていますか?

 僕の場合は新規事業や新規フロンティアをアジアで作っていくという目的があるので、アジアに販路を作りたい日本の企業に現地の企業を紹介し、資本提携すると同時にお金もちょっと出してもらう。それでWin-Winになるのですが。

丸幸弘氏(株式会社リバネス 代表取締役 グループCEO、以下敬称略):大企業の社長には、「儲けたいならスタートアップに頼るな」と言ってます。短期で投資回収したり事業開発したりするにはスタートアップとチマチマやっている場合ではなくて、どこか大きな会社をM&Aした方が早いんですよ。スタートアップ企業は本来、未来志向で動いている“変な奴ら”です。彼らを支援することで、次世代の経営者予備軍がその視点を手に入れるということが、企業にとって最も価値があることですよ、という話をしています。

蛯原:全く同じことを、本に書きました。

丸:「じゃあ、なんでスタートアップ投資するの?」と聞かれるんですが、その理由は2つしかありません。

 ひとつは、社会を大きく変えていける可能性があるから。もうひとつは、それを見ることによって自分たちの未来志向性が高まるからです。「それって、あなたの会社にとって最も面白いことじゃないですか?」と言っています。

蛯原:そうなんですよね。イノベーションを追い求めるのは、そうしないと組織が死ぬからにほかならない。組織の活性化とかメンバーの目線を上げるとか、副次的な効果はいろいろあるけれど、兎にも角にも短期的な儲けのためではない、ということですよね。

丸:もちろん、たまたま花開いて、お金が増えることもあるんですよ。7年から12年経てば、生き残るスタートアップはM&AされるかIPOしますからね。でも、大企業の方は7年も経てば経営者も変わっているから待てませんよね。人材育成のためだと考えるのが、現状はいいんです。

蛯原:「シナジー」という言葉もよく出てくるんですけどね。シナジーなんてありませんよ、と(笑)。

丸:ないない! 自分たちの延長線上の未来しか見ていないから、シナジーなんて言うんですよ。シナジーがないから新しいのに、そこにスタートアップを寄せようとするのは無理があります。

 スタートアップというのは飛び地であって、その飛び地が大きくなった結果、「あれ? もしかすると、自分たちの活動のこことつながるんじゃない?」ということはあり得ます。僕はこれをセレンディピティと呼んでいます。飛び地とセレンディピティの組み合わせによっては、シナジーが出てくる場合もある、という順番で理解しなくてはいけません。

蛯原:その通りですね。

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