未来を語る、未来の言葉「フューチャー・ランゲージ」

井庭 崇 氏 × UDS 中川 敬文 氏トークセッション

 慶応義塾大学湘南藤沢キャンパス(SFC)が、研究成果の発表を目的に毎年開催する「Open Research Forum」。その一環として、SFCの井庭崇氏とUDS株式会社の中川敬文氏によるトークセッション「未来ヴィジョンを言語化するフューチャー・ランゲージとその実践について」が、11月19日に開催された。未来を描く新たな方法論、フューチャー・ランゲージの可能性とは。

[公開日]

[講演者] 井庭 崇 [取材・構成] 宮本 裕人 [編] BizZine編集部

[タグ] タレントマネジメント ワークプレイス パターン・ランゲージ フューチャー・ランゲージ

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「今ある言葉」で未来は語れない

 「未来を予測する最善の方法は、自らそれをつくり出すことである」

 パーソナル・コンピューターの父、アラン・ケイはかつてそう言ったけれど、どうすれば理想の未来をつくり出すことができるのだろう。

 思考やコミュニケーションに欠かせないツール、“言葉”に着目して未来をつくる方法を研究するのは、慶應義塾大学SFC総合政策学部の井庭崇准教授だ。彼は自身が編み出した、未来ビジョンを言語化する方法論を「フューチャー・ランゲージ」と呼ぶ。

未来には「今ないもの」が含まれているにも関わらず、僕らは未来のことを考えるときに、「今ある言葉」で語るしかないんですね。でもそのときに、未来に生まれてくる何かを指し示す言葉があったほうが、議論がより活発化したりイメージが膨らむと思うわけです。未来のビジョンを言語化し、それを共通言語にすることで、みんなで未来を語ったり考えたりすることができる。それがこのフューチャー・ランゲージの目指していることです。

 「今ないもの」を「今ある言葉」でしか語れない状況を、井庭氏は「自動車」を例に説明する。「自動車」という言葉ができる以前、それは「馬なし馬車」と呼ばれていたそうだ。「自ら動く車」という概念がなかったため、当時の人々はそう呼ぶしかなかったのである。

でももし自動車ができる前に「自ら動く車があったらいいんじゃないか」と言えたとしたら、「それってこんな感じ?」「それってどうやったら実現できるんだ?」と会話ができますよね。未来の言葉をつくることで、そのイメージを抱き、他の人と語り合うことができるんです。

 「未だ来ない」と書いて「未来」と読むが、自分がほしい未来は、ただ待っているだけでは来ないだろう。そんな理想の未来を、新たな言葉を生み出すことで自らつくっていく方法——それがフューチャー・ランゲージなのだ。

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