勘違いされやすいリーン・スタートアップ
そもそもリーン・スタートアップとは何か。「分厚い計画書はいらない」「MVPをつくってフィードバックを得よう」「早く世に出してインタビューを繰り返していく」など、一般的に世間で認識されているリーン・スタートアップとはこのようなことだろう。
しかし。実際はこのことを指しているわけでは決してない、と和波氏は言う。では一体リーン・スタートアップとは何か。和波氏がリーン・スタートアップの産みの親エリック・リースの著書『リーン・スタートアップ』をまとめて解説してくれた。
リーン・スタートアップの本当の姿
書籍『リーン・スタートアップ』は3部構成でそれぞれ4~6のチャプターに分かれている。それぞれのチャプターの内容を一言でまとめたのが下図だ。
そしてさらにこれをプロセス化すると次のようになる。
新規事業というのは不確実性との戦いで、そこで生まれたアイデアは仮説にすぎない。従って、速攻で行動に移して学んでいかなければならない。計画を立てている場合じゃなく、MVPからはじめなければいけない。
そこで立てる仮説は、事業アイデアのみではなく戦略もつくらなければいけない。さらに、それを成長戦略とマイルストーンによって常に正確に測定していく。その結果として、事業案を意図的に方向転換する。そしてこのサイクルを回せる組織は、トヨタ生産方式を実践できる柔軟性の高い組織だということだ。
これこそが「リーン・スタートアップ」の考えだ。
つまり「MVPをつくってフィードバックを得よう」等の本文冒頭で述べたような取り組みは、リーン・スタートアップでやらなければいけないことの一要素である「仮説のマネジメント」のなかの一つの手段でしかないのだ。
みなさんが勘違いしているのは、リーン・スタートアップとは、優れた事業案を、仮説検証を通じてひねりだす手法だと思っている。このことがリーン・スタートアップに対する一番の誤解です。リーン・スタートアップは業務プロセス改善であり、それ以外のなにものでもありません。