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ニューノーマルのミドルマネジメント

ロジックとアートを備えた「ハイパフォーマー」とは──増村岳史氏に聞く、ミドルマネジメントとアート

第6回 ゲスト:アート・アンド・ロジック 増村岳史氏

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 様々な企業が新規事業の創出を求めており、また、新型コロナウイルスの流行によって就労形態も変わってきています。こういった状況の中、ミドルマネージャーは何を求められているのでしょうか。本連載では、Coupa株式会社 代表取締役社長/ジャパン・クラウド・コンサルティング アドバイザーの小関貴志氏が対談ホストとなり、グローバル企業のリーダーたちや、新しいマネジメントアプローチを提言する方々との対談を通じて、ミドルマネジメントの“型”を探っていきます。今回のゲストはアート・アンド・ロジック株式会社 代表取締役 増村岳史氏。株式会社リクルートを経て、音楽配信事業やメディアとのコンテンツ事業の共同開発に従事。現在は企業やビジネスパーソン向けに、デッサンを通して創造性を刺激する講座「ART&LOGIC(アート・アンド・ロジック)」を主催しており、12月には増子裕介氏との共著『ハイパフォーマー思考 高い成果を出し続ける人に共通する7つの思考・行動様式』が刊行された増村氏に、ミドルマネージャーにも有効なビジネスにおけるアート思考の活用について聞きました。

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イノベーティブなアイデアには起業家の“アート性”が必要

小関貴志氏(以下、敬称略):増村さんは2015年に、2日間で誰もが驚異的に絵が描けるようになるイノベーションプログラム「ART&LOGIC」を創設。単なる絵画教室ではなく、絵の上達を支えるスキルとそこに基づくアート思考を、論理的かつ効率的に習得することができる講義を主催され、多くのビジネスパーソンが受講しているとお聞きしています。

 これまで本連載では、ミドルマネージャーの1つのあり方として、外資系企業のカントリーマネージャーを中心に、ロジックと数字に強みを持つ方たちにお話を伺ってきました。私自身、営業やマーケティング部門でキャリアを積んできたこともあり、ロジック寄りのタイプと認識しています。最近はビジネスにもアートの考え方が必要だと実感しており、そこで今回増村さんに対談をお願いしました。

増村岳史氏(以下、敬称略):私の講座は、システム開発や運用などを請け負うSIerの企業研修として依頼いただくケースがとても多いんです。

小関:非常に興味深いですね。なぜなのでしょうか?

増村:ITの世界とアートの世界は、“知覚の扉”の開き方において重なる部分があるのでしょう。

 ポール・グレアムさんという、全米有数のエンジェル投資家の例を紹介します。彼はY Combinatorという米国で著名なベンチャーキャピタルの創業者で、インターネットの黎明期にECアプリケーションを世界で初めて発明した人物です。彼のキャリアはおもしろくて、大学では哲学を修め、大学院ではコンピュータサイエンスを研究し、その後米国のデザインスクールでデザインを、フィレンツェの美術大学で油絵を学んでいます。彼は、自身のエッセイである『ハッカーと画家』の中で、絵を描いた経験がビジネスに役立ったと語っています。そこには

  • エンジニアと画家の共通点(発見と実践の繰り返し)
  • デッサンとプログラム開発(全体と細部、主観と客観の繰り返し)
  • 観察の重要性(インプットとアウトプット)
  • 熱狂的な没頭(集中とゾーン)

という4つの観点があり、絵を描いていると時間を忘れてゾーンに入るという経験から、「熱狂的な没頭」が最も重要だと説いています。熱狂的な没頭がないと、新しい価値はつくれませんよね。彼の仕事における“やりきる力”は、すべてアートから学んだともいえるかもしれません。

小関:アートを学んだからこそ、世界で初めてECアプリケーションをつくれたのかもしれませんね。

増村:そうですね。彼の発明がなければAmazonも楽天も生まれていなかったかもしれません。拙著で紹介をさせて頂きましたが、米国でエンジェル投資家をされているキヨイズミさんの例もユニークです。元々医師をされていましたが、渡米してMBAを取得したあと、そのまま米国に残りバイオベンチャーを経営、上場させた方です。キヨイズミさんは、一度私の講座に参加してくれたことがあります。そのとき、ベンチャー投資をする際の判断の軸は「起業家にアート性があるか」だと話してくれました。左脳的な頭の良さだけでは、現状の延長のようなアイデアばかり出てきてしまいますし、ビジネスの成功要素は左脳優位のロジックだけでは不足なことがしばしばです。そこで、新たな未来を創造するようなアイデアを出せるのは、右脳も活用したアート性にも富んだ人なのだというのです。

 私もビジネスとアートに触れてきて、左脳だけではイノベーションはつくれないという実感があります。

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この記事の著者

皆本 類(ミナモト ルイ)

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