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建設業界のデジタルアダプション実態調査、日本のデジタルリテラシーの低さが浮き彫りに─Autodesk

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 米国Autodesk社は、建設業界におけるデジタルアダプションの現状に関する調査レポートを発表した。

 同レポートは、Deloitte Australiaの協力の下、アジア太平洋地域の中から3ヵ国(日本・シンガポール・オーストラリア)に本社がある建設・エンジニアリング企業229社のエグゼクティブを対象に、建設・エンジニアリング業界に影響を与える新たなトレンド、デジタルテクノロジーの導入効果や、今後の展望について調査した結果をまとめたもの。

 調査により、建設・エンジニアリング業界では9割近い企業が新しいテクノロジーの投資や購入を行っており、デジタルの導入レベルが進んでいる企業ほど将来について楽観的な見方をしており、グローバルな事業展開に前向きであることが明らかになったとしている。

 また、建設・エンジニアリング企業の61%が、新しいテクノロジーを使用してプロジェクトを実現することが今後の成長をもたらすカギになると考えているという。また、5分の2近い企業が、BIMや施工管理クラウドソフトウェアを使用しており、4分の1以上の企業が将来的にこうしたテクノロジーを導入する見込みであると回答した。

 主な調査結果は以下のとおり。

  • 97%の企業が、デジタル化によって業績が向上したと回答
  • デジタル化の取り組みによる業績への好影響について、45%の企業が「大きな影響」または「非常に大きな影響」と評価
  • デジタルアダプション率の高い企業は、将来について楽観的な見通しを持つ割合が 30%高い
  • 61%の企業が、新しいテクノロジーを利用して顧客の仕事を遂行することが、収益拡大の大きな要因になると考えている
  • 半数近い企業が、デジタル技術を活用した社内プロセスの改善も、成長を推進する要因になると考えている
  • 日本の企業は先行き不透明な経済と、適切なスキルを持つ労働者の不足を最も大きな不安材料として挙げている

テクノロジーの導入拡大がもたらすビジネス価値

 97%の企業が、デジタル化によって業績が向上したと回答し、45%の企業が「大きな影響」または「非常に大きな影響」と評価している。また国別で比較すると、オーストラリアとシンガポールの企業が特にデジタル化の影響を受けているのに対し、日本の企業は業績への影響が少なく、12%が「大きな影響」と評価し、「非常に大きな影響」と評価したのはわずか2%だったという。

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 テクノロジー導入による効果を尋ねたところ、「生産性の向上」が最も多く、次いで「カスタマーエクスペリエンスの向上」、「スタッフの安全性の向上」、「コストの削減」などが企業による共通の認識として挙げられた。これらのメリットは、業界が抱える課題と密接に関連しており、デジタルテクノロジーがすでに業界の抱える課題の重要な解決策となっていることを示唆しているという。

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 16種類のさまざまな建設技術の使用状況について企業に質問したところ、その導入率については業界内で様々な回答が得られた。BIMの使用率は最も高く、大手や老舗企業を中心に40%の企業で使用されており、施工管理クラウドソフトウェアは39%の企業で使用されている。

 また、4分の1の企業がこれらのツールの導入を2023年中に検討しており、これらのテクノロジーはより広く普及すると見られている。この他にも、3Dプリンティングやデジタルツインについても将来的な使用予定を含め、5割超の企業が使用中または導入意向であると回答している。

 加えて、一般的に16種類あるテクノロジーのうち平均5つが同業界の企業により使用されている。調査対象企業のうち、現在10種類以上のテクノロジーを利用しているのは約10%で、これは大多数の建設・エンジニアリング企業にとって、テクノロジーの使用を増やす大きな機会であることを意味していると、同調査は述べている。

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デジタルアダプションにおける障壁の克服

 企業はデジタルテクノロジーの導入に際していくつかの障壁に直面しており、このことは95%の企業がデジタルテクノロジーの導入について「少なくとも1つの障壁がある」と回答し、8割が「3つ以上の障壁がある」と回答したことからもうかがえるという。

 デジタルテクノロジー導入の障壁として最も多かったのは、従業員のデジタルスキル不足(44%)。国別で見てみると、55%の企業がスキルギャップを報告したシンガポールが最も懸念を大きく感じており、これに対して日本は39%と3ヵ国中最もスキルギャップが少ない結果となった。

 次いで、41%の企業が「必要な技術スキルと能力に関する不確実性」「予算分配の不足」を障壁として挙げており、いずれも日本はシンガポール、オーストラリアと比較しても良好な状況ではあるものの、課題を解決するテクノロジーを知らないと回答した企業が3ヵ国中最も多く、デジタルリテラシーの低さが明らかになったとしている。

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 同レポートの調査結果に基づき、次のリストでは、デジタル導入の異なる段階にある企業が優先的に取り組むべき領域をいくつか挙げているという。

  1. 組織全体の戦略を策定し、進捗状況を把握する
  2. 強固なチェンジマネジメント計画に裏打ちされた、変革へのモチベーションを構築する
  3. 社内のデジタル スキルを育成する
  4. 信頼できるアドバイザーとパートナー関係を築く
  5. デジタルアダプション戦略と投資におけるビジネス上の成果に焦点を当てる

 これらの優先課題を効率的に解決することで、企業はより高度なテクノロジーに裏打ちされた多くのメリットを享受できるという。現在のマクロ経済的な課題は、建設およびエンジニアリング業界全体において、技術導入によるより効率的なプロセスへの移行を促す強い動機になるとしている。

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BizZine編集部(ビズジンヘンシュウブ)

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