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DNPら、物流倉庫や飲食店で稼働する自律走行搬送ロボットの経路を最適化するアルゴリズムなど開発

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 大日本印刷(以下、DNP)と、デジタルツインプラットフォーム「Wisbrain」を展開するUltimatrustは、物流倉庫や飲食店などで稼働する自律走行搬送ロボット(Autonomous Mobile Robot:AMR)の経路を最適化するアルゴリズムと、その導入効果を検証できるシミュレーターを開発した。

 Wisbrainは、設置した多様な情報機器から取得したデータを集約し、AI(人工知能)で解析を行うシステム。今回、同システムに、膨大な選択肢から最適な解を抽出する「組合せ最適化問題」を高速で処理する「DNPアニーリング・ソフトウェア(DAS)」を搭載した。DASは量子コンピュータで用いられるアニーリング手法を、GPU(Graphics Processing Unit)を利用した並列計算により高速化したソフトウェアだという。

 これにより、常に変化するAMRや障害物などの位置を把握して最適な移動経路を短時間で計算し、AMRの稼働率を高めるとのこと。また、シミュレーターにAMRの台数や稼働領域マップ、経由地などの条件を設定することで、このアルゴリズムの効果を検証できるとしている。

 開発したアルゴリズムとシミュレーターの特徴は、以下のとおり。

AMRの移動距離を従来手法と比べて約3分の2に短縮

 DNPのDASを活用し、現場の環境やロボットの稼働状況などの膨大な選択要素の中から、「AMR同士の衝突回避」や「現場全体での高効率なロボットの動作順序」などの条件を加味して、最適な搬送経路を提示するという。

 今回の開発にあたり、125×200mの倉庫内でランダムに抽出した8つの経由地を各AMRが通るという条件で、10台のAMRをシミュレーター上で稼働させたところ、最短経路を導くために従来から使われているダイクストラ法と比べて、AMRの移動距離が約34%短くなったとしている。

突発的に発生した障害物などにもリアルタイムで対応可能

 物流倉庫や飲食店などでは、ロボットの経路上に障害物が突発的に発生する場合がある。同アルゴリズムでは、Wisbrainを通じてカメラやセンサーから得る障害物の情報を活用することで、経路をリアルタイムで再探索できるとのこと。障害物の存在を前提に経路を提示するため、衝突や停止の事前防止につながるという。

AMRの様々な作業環境に対応

 物流倉庫や製造工場、飲食店など、AMRが導入される様々な環境に対応可能で、ロボットの稼働効率を高めたい企業・団体などに有効だとしている。

左:シミュレーションのイメージ、右:各ロボットの移動距離を示したシミュレーション結果(10台のAMRすべてにおいて、従来の手法と比べて移動量が下回っていることが確認できる)
左:シミュレーションのイメージ、右:各ロボットの移動距離を示したシミュレーション結果(10台のAMRすべてにおいて、従来の手法と比べて移動量が下回っていることが確認できる)

 両社は今後、物流倉庫や製造・物流関連の企業、飲食業界などに向けて、ロボット導入による効果検証を示していくほか、2023年度中に、同アルゴリズムを用いたAMRの経路最適化システムを開発し、提供していくという。

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BizZine編集部(ビズジンヘンシュウブ)

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