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上場企業とスタートアップのCFOや経営企画が知るべき、企業の変革や成長の“参謀”となる投資銀行のこと

『Investment Banking 投資銀行業務の実践ガイド』翻訳・森生明氏 インタビュー

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 翔泳社は2023年08月31日、『Investment Banking 投資銀行業務の実践ガイド(以下、Investment Banking)』を刊行した。原書は米金融機関の新入社員や転職者、実務家に読み継がれてきた、投資銀行を知るための定番書である。本書を翻訳したのは、かつて投資銀行のゴールドマン・サックスでM&Aアドバイザー業務に従事し、現在はグロービス経営大学院教授を務める森生明氏。その森生氏は「本書は実務家向けのハウツー本だが、投資銀行と相対する事業会社の方にも読んでほしい」と話す。森生氏に本書の見どころを伺った。

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投資銀行の業務は「株式を使った企業成長の参謀役」

──『Investment Banking』を翻訳した森生さんが、実際に投資銀行で働かれた時代はどのような状況だったのでしょうか。

 私は1983年に日本興業銀行(現みずほ銀行)に入行し、80年代後半のバブル期にM&Aアドバイザー業務に従事していました。その相手側としてよく顔を合わせていたのが投資銀行です。それで相手方のすごさを実感し、私もゴールドマン・サックスという投資銀行で働いてみることにしたんです。同社のニューヨーク本社で本場の投資銀行業務をじっくり味わう機会を得ましたが、それは30年前の話でM&Aに偏った経験であることを最初にお断りしておきます。

 私の感覚では、米国から30年遅れで、日本でも投資銀行の役割が理解される土壌がようやく整ってきたと感じます。

──そもそも投資銀行とはどのような役割を担っているのでしょうか。

 投資銀行がやっていることを一言で表現すると「エクイティ(株式)を使った会社の成長・変革の手伝い」ではないかと。「銀行」と呼ばれるので誤解されがちですが、投資銀行が得意なのは株式にまつわる会社のニーズに応えることで、法人向け業務に特化した証券会社です。具体的には、株式発行による資金調達や、事業売却、M&A、株式公開です。本書で詳しく解説しているレバレッジド・バイアウト(LBO)は、これらの手法にデット(借入)資金調達を組み合わせてファンド投資家による企業買収をアレンジする仕事です。このようなメニューを総合的に企業に提供する、それが投資銀行です。

 投資銀行と聞くと、普通の銀行や証券会社よりワンランク上のイメージもあるでしょう。それはなぜかと言うと、米国では株式にまつわる業務、すなわち企業価値や株価に直接的に影響を与える意思決定は、CEOやCFOという会社のトップと取締役会で行われる。そういった方々から相談を受け直接コミュニケーションをとる立場にインベストメント・バンカーはいるからです。だから投資銀行は長年、米国企業社会で一目置かれる存在でした。実際に米国の職場で30代の若い投資銀行の人間が気軽にトップクラスの上場会社の役員に電話して、ファーストネームで呼び合い、案件をもちかけている姿を見たときには、日本との違いに驚きました。

 まとめると、投資銀行というのは資金調達やM&Aといった株式を利用した手法で企業の変革や成長のお手伝いをして、大企業トップの直接の相談相手になる人たちです。そして戦略コンサルティングファームとの違いは、相談に乗るだけでなく資本市場を使ってその戦略の実行まで手伝うところではないかと思います。

Investment Banking 投資銀行業務の実践ガイド
(著)ジョシュア・ローゼンバウム、ジョシュア・パール/(翻訳)森生 明『Investment Banking 投資銀行業務の実践ガイド』(翔泳社、2023年8月)

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この記事の著者

納富 隼平(ノウトミ ジュンペイ)

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