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NTTと三菱重工業、特許専用のAI翻訳の業務活用に関する共同実証を実施 外国特許出願の工数削減に期待

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 日本電信電話(NTT)は、三菱重工業と、特許専用のAI翻訳の業務活用に関する共同実証を実施し、外国特許出願にかかる稼働を削減できる可能性を確認したと発表した。

 海外への特許出願時に利用する特許明細書などの特許関連文書の翻訳においては、逐次性、用語の統一、適切な技術用語の選定が重要であり、一般的な翻訳で重視される流暢性をある程度犠牲にしてでも、正確さや厳密さが要求されるという。

 一般的な文書の翻訳に活用される汎用的なAI翻訳では上記要求への対応が難しく、結果的に人間がAI翻訳結果の修正を行う必要があると、同社は述べている。

 こうした修正作業において多大な時間を要することや、ベテランのスキルに頼っていることといった問題の解決が、特許関連文書の翻訳にAI翻訳を導入する際の課題になっていたという。

 NTTと三菱重工は、2014年に「社会インフラ×ICT」に関する研究開発連携に関する基本契約を締結し、NTTの研究所が持つICT(情報通信技術分野)の研究開発成果を三菱重工のエネルギー・環境、交通・輸送などの社会インフラ関連製品および関連業務に適用し、新たな価値創造をめざす取り組みを実施しており、その一つとして、AIによる特許翻訳実現に向けた共同プロジェクトを2023年2月より開始したとしている。

 実証実験の概要は以下のとおり。

実験における各社の役割

 AI翻訳の外国特許出願時の翻訳業務への活用可能性を探るため、三菱重工の特許明細書を対象とし、NTT研究所の研究開発成果を活用したAI自動翻訳エンジンを用いた評価を、以下の役割分担で行ったという。

  • 三菱重工:知財部門による、実業務の日英の特許明細書(請求項含む)の評価用データ提供、および翻訳結果の評価を実施
  • NTT:研究所の独自技術により作成した、特許表現から構成される3億超の日英特許対訳文コーパスを提供。知財部門が翻訳結果の評価を実施
実験結果

 NTTの提供する日英特許対訳文コーパスを用いて構築した特許専用翻訳、汎用翻訳、および既存の特許専用翻訳の3種類のAI自動翻訳エンジンによる翻訳結果について、三菱重工・NTT両社知的財産部門の特許出願業務を行う社員によって翻訳品質の順位付けを行った結果、本特許専用翻訳、汎用翻訳、既存特許専用翻訳の平均順位はそれぞれ1.5位、2.0位、1.9位であり、本特許専門翻訳がもっとも高い順位であった。

 また、プロの翻訳家によって事前に作成された正解翻訳との類似性を用いた自動評価(100点満点)についても、汎用翻訳38.6点、既存特許専門翻訳44.0点であったのに対し、本特許専門翻訳は57.5点と向上が見られたという。

 これらの結果は特許専用AI自動翻訳(エンジン)の活用により、外国特許出願時の翻訳に要する工数を削減できる可能性を示していると述べている。

今後の展開

 同実験成果を活用した特許専用のAI自動翻訳について、NTTグループ企業であるみらい翻訳がサービス提供を予定。また今後、NTTグループの各事業会社を通して、同技術に基づくサービスやソリューションを提供していく予定だという。

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BizZine編集部(ビズジンヘンシュウブ)

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