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問題解決に効く「行為のデザイン」とは

「行為のデザイン」からイノベーションが始まる

『問題解決に効く「行為のデザイン」思考法 』

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 ユーザーの目的に沿った複数の行動を時間軸で想像、体験し、改善点を見つけて、より良い形を見つけていく「行為のデザイン」。この手法を用いると、企画や商品の持つ問題点が明らかになるため、関係者の情報共有や現状把握がしやすくなり、企業の開発力が上がるという。その考え方と実践法を見ていこう。

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ユーザーの動きを止めないのが「良いデザイン」

 オフィスの会議室の照明をつけようとして、スイッチで迷ったことはないだろうか。壁に6つや8つのスイッチがあっても、天井のどの照明と対応しているか分からない。「壁際の照明をつけて」と言われたのに窓際をつけてしまったり、残したい照明を消してしまったりといった失敗は、誰でも経験したことがあるはずだ。間違いながら照明をつけたり消したり、焦って周囲の人に謝ったりする行為は、残念ながらあまり美しいとは言えない。

 このとき、スイッチのデザインが担うべきなのは、美しいスイッチ盤、つまみの形や色ではない。重要なのは、人が場所を迷ったりせず、スムーズに正しい位置の照明をつけられるようにする「情報の見せ方」であり、それが実現するデザインだ。

行為のデザイン

 なぜ、このような失敗が起きるかを整理すると、その原因は「認識のしにくさ」にある。建築用語では、天井の方向を天伏といい、壁の方向を立面という。スイッチを使う立場で考えると、立面にある照明スイッチに天伏の情報が90度角度を変えて移動しているために、一目では位置が一致せずに、混乱を招いてしまうのだ。

 例えば、このスイッチ盤が垂直な壁面ではなく、水平に近い角度で設置されていたら、人は照明の位置を天井に置き換えるという連想がしやすくなるだろう。また、壁面にあったとしても、窓側とドアの位置がアイコンや囲み線で示してあれば、照明とスイッチの位置を対応させやすくなるかもしれない。つまり、私たちが使いやすいのは、「美しい形や色のスイッチ盤」ではなく、「つけたい照明がすぐわかるスイッチ盤」なのである。

 このように、ユーザーが動きを止めずに、スムーズに美しく振る舞えるようにするには、どうあるべきかを考えるのが、プロダクトデザイナーである私が提唱する「行為のデザイン」だ。そのために私が注目するのは、モノだけではなく、ユーザーが目的を達するための行動である。

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「行為のデザイン」はユーザーの時間軸から考える

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この記事の著者

村田 智明(ムラタ チアキ)

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