スタートアップが育つ街に必要な “変わったもの”を受け入れる土壌とテクノロジー

ゲスト:東京大学 産学協創推進本部 本郷テックガレージ ディレクター 馬田隆明 氏(後編)

 より良い「スタートアップ・エコシステム」はどういった形なのか? そして、それを成り立たせるために必要な要素とは? その輪郭と本質を明らかにすべく、様々な識者を迎える本鼎談連載。第1回ゲストは、東京大学 産学協創推進本部 本郷テックガレージ ディレクターを務め、オープンイノベーションとスタートアップ・エコシステムに関するMedium(ミディアム)の記事が話題を集めた馬田隆明氏。鼎談のナビゲーターは前回に続き、Supernova, Inc. Co-Founder & Directorの栗島祐介氏と、東京急行電鉄株式会社の「東急アクセラレートプログラム」運営統括である加藤由将氏が務めた。前編では、日本のスタートアップ・エコシステムから始まり、大企業とスタートアップの適切な関係性などを語り合った。後編はスタートアップ・エコシステムと街の関係性に関して議論した内容についてまとめた。

[公開日]

[語り手] 馬田 隆明 加藤 由将 栗島 祐介 [取材・構成] 新國 翔大 [写] 和久田 知博 [編] 栗原 茂(Biz/Zine編集部)

[タグ] スタートアップ タレントマネジメント コミュニティ ベンチャー エコシステム オープンイノベーション アクセラレーター スケーラレーター 都市開発

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エコシステムに必要な見る目のある投資家と若いオタク

栗島祐介(Supernova, Inc. Co-Founder & Director / Community Producer):
 早速ですが、まず「スタートアップ・エコシステムと街づくり」*1に書かれている、「スタートアップに適した街」に必要な2種類の人間というのは具体的にどのような人でしょうか?

馬田隆明(東京大学 産学協創推進本部 本郷テックガレージ ディレクター):
 これは Y Combinator の創設者 ポール・グレアムが指摘したもので、特定の街に健全なスタートアップ・エコシステムをつくるためには、「見る目のある投資家」と「若いオタク」が必要だと言っているものを引用したものです*2。

 たとえば、お金持ちが住みたがる都市に一流の大学を作り、その場所をクラブよりカフェ、衣料店より古本屋といったように「オタクが好む街」にする。それにより、街全体がスタートアップを集積するようなハブになっていくのではないか、というものです。

栗島:
 スタートアップは若いほうがいいのか、その若いという文脈には30代も含まれるのでしょうか?

馬田:
 30代も含まれるかもしれませんが、ポール・グレアムの指摘には「大学」という文脈が入っていたので、もう少し若い気もします。

加藤由将(東京急行電鉄株式会社 「東急アクセラレートプログラム」運営統括):
  この前、とあるVCさんにお話を伺った際、学生だけでなく、社会人経験を5〜10年くらい積んだ30歳前後の起業家が増えてきているのはとてもいい傾向だ、と指摘していましたね。

馬田:
 そうですね、実際、Y Combinatorのプログラムに参加している人の年齢はこの10年で毎年1歳ずつくらい上がっています。

 今はだいたい平均年齢が30歳くらいで上げ止まっていますが、B2Bのスタートアップが増えてきていることを考えると、やはり社会人経験が5年〜10年くらいの人がいいのかなという気はします。ただ、そこはバランスの問題ですね。個人的には若い世代から“外れ値”の高い突出した人材が出てくると思っていますが……。

栗島:
 確かに外れ値が高いのは、若い世代な気がしますね。Supernovaコミュニティにいて最近開催されたDemodayで優勝したAMATELUS Inc. 代表の松田光秀さんは前職がとび職で、4年前くらいにプログラミングを学び始め、凄まじいな勢いでクレイジーな素晴らしいプロダクトを輩出し続けてますからね。

加藤:
 起業家側を見ていても、大企業のイノベーター側を見ていても、その世代は飛び抜けたクレイジーな人が、たまに現れますよね。

馬田 隆明馬田 隆明 氏(東京大学 産学協創推進本部 本郷テックガレージ ディレクター)
日本マイクロソフトでの Visual Studio のプロダクトマネージャー、テクニカルエバンジェリストを経て、スタートアップの支援を行う Microsoft Ventures に所属。2016年6月より現職。スタートアップ向けのスライドなどの情報提供を行い、著書『逆説のスタートアップ思考』も好評。

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