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中竹竜二氏が語るチームを強化する「対話」術

2012年より3期にわたりラグビーU20日本代表ヘッドコーチ、そして現在は日本ラグビーフットボール協会コーチングディレクターという立場で数多くの選手やコーチを指導し、強いチームを作り上げてきた中竹竜二氏。その原動力は、常にチームメンバーに語りかける「対話」だという。その中竹氏のコミュニケーション術は、ビジネスにおけるリーダーの育成やチームビルディングのサポートに活かされている。
その中竹氏に、Web会議などで働き方の変革を提唱するブイキューブの浜野善輝氏がインタビューを行なった。

[公開日]

[編] BizZine編集部 [取材・構成] 谷川耕一

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「試合を離れた場」の行動が、能力を左右する

浜野:
  早稲田大学のラグビー部監督として選手と接していた際、あるいはマネージャーの立場でスタッフやメンバーと接する際に心がけていることは何でしょうか?

中竹:
 これまでにコーチの立場と、コーチングディレクターという「コーチを指導するコーチ」の立場を経験してきました。「コーチのコーチ」というのは、企業で言えば課長を育てる部長の立場です。自分では現場に立たずに現場にいる個人を育てる。その立場に立つと、チームの全体の役割が見えてきます。

浜野:
 具体的にはどのように見えてくるのでしょうか?

中竹:
 チームのメンバーの人間性が見えてくる。練習や試合で発揮される人間性です。たとえばラグビーの代表チームであれば、試合や練習の時間以外に移動や食事の時間があります。そういった試合の外での時間、「オフ・ザ・フィールド」の中での人間性を見ることで、チームとしてのパフォーマンスもある程度わかるのです。

 たとえばチームで食事をする時に、いつも同じメンバーで座る選手は、試合中に他のメンバーと会話が出来ていなかったりします。きちんとコミュニケーションをとるには、「オフ・ザ・フィールド」で会話をしていなければだめなのです。

「対話」がチームと組織を変化させる

浜野:
 コミュニケーションが大事といえば当たり前のようですが、対話によってチームや組織も変えることが出来るということですね。

中竹:
 20歳以下のラグビー日本代表で、天才的なプレイヤーだけれど、試合中に他のメンバーとうまくやりとりが出来ない選手がいました。彼のオフ・ザ・フィールドの生活を見ていると、普段から他の人に対しまったく気を遣わず、コミュニケーションがとれていなかった。これを改善するために、遠征の食事の後には自分で片付けるように指導をしたり、他のメンバーとも積極的に挨拶をするように促しました。「朝はおはようございますと言おう」などの基本的な指示です。結果、その選手の試合でのパフォーマンスは大きく向上したのです。たとえば試合中に苦しい状況になった時に、自分でなんとかしようとするのではなくパスの相手を探すようになった。このように試合でのパフォーマンスの原点は、普段の生活での、意識の持ち方なのです。

 これはおそらく企業でも同じです。同僚と一緒に食事をしたり、挨拶もしないし会話もないようなメンバーは、業務上のコミュニケーションもうまくとれません。そんな時のマネージャーの役割は、ちょっとした促しでメンバー同士が自然にコミュニケーションをとれるようにすることです。

浜野:
 アスリートであれば個別のプレイであったり、仕事であれば具体的な仕事のやり方を教える以前に、基本的なコミュニケーションを教えるということですね。

中竹:
 そうですね。もうひとつは結果を出す人物だけではなく、他のメンバーのこともしっかり見るということです。スポーツでも、ビジネスでも、得点をあげる人材や結果を生む人材だけに目が行きがちです。採用する際も、いかに成績数字を上げられるか、リーダーシップを発揮できるかが尺度になる。数字やリーダーシップは見えやすく評価もしやすい。しかし、会社の中には、誰かがおこなう発表のための資料を作ったり、データを徹夜で集めた人も存在する。そういった人たちをきちんと評価できなければ、組織全体のパフォーマンスは向上しません。見えやすい部分だけを評価するのではなく、誰も見ていないところを評価する。これは「フォロワーシップ」であり、評価の原点です。目立つリーダーだけが偉いのではなく、それを支えているフォロワーも同等の評価をすべきなのです。

U20ではメンバーとの対話をリストでチェック

株式会社TEAMBOX 代表取締役 (公財)日本ラグビーフットボール協会 コーチングディレクター</br>中竹竜二氏
株式会社TEAMBOX 代表取締役 (公財)日本ラグビーフットボール協会 コーチングディレクター
中竹竜二氏

浜野:
 実際にコーチングディレクターやラグビーU20日本代表ヘッドコーチの立場で、大勢の若い選手たち一人ひとりとコミュニケーションをとるというのは大変だったのではないでしょうか?

中竹:
 ヘッドコーチの立場は期間も限られます。しかも今まで会ったこともなかったメンバー同士で、世界で勝利しなければならない。1分1秒たりとも時間は無駄にできません。とにかく心がけたのは、「対話のチャンスは逃さない」ということです。

 スタッフも含めチーム全員の名前を表計算ソフトでリストにして、その日に誰とどれくらい会話したかをチェックするようにしました。それぞれの選手ときちんと向き合えているか、きちんと伝えているか、選手の言葉を聞けているかをチェックしました。たとえばメンバーの名前をフルネームで覚えることや、出身地がどこで、どんな人物かを知るといったことです。

 たとえばチーム遠征の合宿所では、食事会場の前にあるホテルのロビーにずっと腰かけているようにしました。そして目の前を通り食事に行く選手を呼び止め話しかけるのです。ただ、突然声をかけると「コーチに呼び出された」と気にしてしまうので、自然に声をかけやすい状況にしました。

 もちろん、コミュニケーションを増やすことだけで選手の能力が劇的に伸びるわけではありません。当然ながら選手のスキルの向上は必要です。しかし、コミュニケーションの基盤があれば、信頼関係につながります。そうすれば「おまえのあのミスがどれだけチームに迷惑をかけたか」といった、一見言いにくいこともはっきり言える。そこまでできるようになれば、チームは強くなります。

浜野:
 個別の対話以外のミーティングについてはいかがでしょうか?

中竹:
 ミーティングも頻繁で、午前午後の練習前、さらに夜までおこなっていました。
時にはゲスト講師を呼び、ラグビーと関係のない話を聞くミーティングも設定しました。これまでにも経済学者で大学教授の楠木建さんやチームラボ代表の猪子寿之さん、予防医学研究者の石川善樹さんなどを呼んで話をしてもらいました。そういったミーティングのあとには、選手に必ずレポートを書いて考えてもらいます。練習の後のミーティングだけに選手にとってはきついものがありますが、みんな良く考えてくれ、後半になると選手からミーティングに対するアイデアの提案もありました。

デジタルツールの使い分けが「対話」を促進する

株式会社ブイキューブ マーケティング本部 デジタルマーケティング マネージャー</br>浜野善輝氏
株式会社ブイキューブ マーケティング本部 デジタルマーケティング マネージャー
浜野善輝氏

浜野:
 われわれブイキューブでは、企業のコミュニケーションのための動画による会議システムなどを提供しています。会議、面接や研修、採用面談など様々に活用されているのですが、こうしたデジタルのツールはチームや組織づくりにも役立つのではないかと考えています。

中竹:
 そうですね。選手とのコミュニケーションでは、リアルな対面がすべてではありません。信頼関係があれば、ツールによってもコミュニケーションは成り立ちますし、むしろその方が良いときもあります。
 メールは言葉で的確に伝えるには適していますし、電話は即時性がありすぐに声で伝えたい時には良いですね。逆にお互いの顔や表情が伝わる方が良い場合は、TV会議やWebミーティングが良いと思います。特に、海外での遠征中で距離が離れているメンバーと、対面の面談をしたい時にはWeb会議はかなり便利だと思います。

浜野:
 選手への指導やミーティングにも使われていくと良いでしょうね。われわれのWeb会議ソリューションは、HD対応でかなり高品位な画像や音声を重視しています。

中竹:
 顔が見えれば空気を読むことができます。今のTV会議の仕組みなどはかなり映像もきれいで、対面しているのとあまり変わらないやり取りができます。もうひとつ、これから期待できるのはオンラインによるメディカルやヘルスケアでの活用です。世界中を転戦する際には、ドクターが同行できないこともあります。健康面、医療面でのアドバイスは重要ですし、セカンドオピニオンを受けたい時もあります。そういった時にオンラインのTV会議の仕組みがあれば、世界中のドクターとコミュニケーションをとることができますね。ツールも使い分けが重要だと思っています。

浜野:
 われわれもこうしたツールを使うことで、会社という場所にとらわれない新しい働き方につながると考えています。マネジメントの考え方も変わってくるのではないでしょうか?

中竹:
 今回『マネジャーの最も大切な仕事(英治出版)』という本の監訳に携わりました。その本ではマネジメントの真髄として、やりがいのある仕事の進捗を支援することがメンバーの生産性と創造性を高めることを説いています。

 大きな目標だけを提示し細かいことは問わないというマネジメントの考え方もあります。大きな成功を成し遂げようとすると、魔法でもない限りなかなか達成できません。一方ですごい能力がなくても、小さい目標であれば毎日成功させることが出来ます。そうやってこつこつと成功を続ければ、明日も頑張ろうという気持ちにもなりやすい。大きな目標だけを見ていると、なかなかそれには近づけません。

 マネージャーにも、日々の小さなゴールを見ていない人は多いでしょう。それを見てあげ、成功すればちゃんと認めてあげる。大きなソリューションだけを打ち出し、それが全部うまくいくのを「管理」するよりも、小さくても日々のやりがいのある仕事が進捗するように「支援」する。真の成果を出すために、リーダが必要としていることは、実はとてもシンプルで、とても大事なのです。

撮影協力:336ébisu

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