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実践企業に聞くサーキュラーエコノミー

メルカリのミッションを実現する、楽しい行動変容から生まれる循環型社会への意識変容とは?

ゲスト:株式会社メルカリBrand management team/ESG lead 田原 純香氏

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 本連載は、循環型社会に向けたプロセス設計をデザインする株式会社fog代表の大山貴子氏をホストに迎え、さまざまなゲストとともに、サスティナブルな企業の事業戦略と組織づくりを議論することで、理解を深めていく連載である。今回は、日本のC2CのECサービスを牽引するメルカリでESGプロジェクトのリードを務める田原純香氏と、社内でのインフルエンサー的役割を担う田中マヤ氏に話を聞いた。前編は田原純香氏に伺った内容を紹介する。

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なぜメルカリはCSRではなく、ESG推進チームを設置したのか

株式会社fog 代表 大山 貴子氏(以下、敬称略):お小遣い稼ぎになったり、自分の不用品が人の役に立ったりして楽しい、と利用者が飛躍的に増えているメルカリですが、2019年6月にESG推進チームを作り、「サステナビリティ:sustainability(持続可能性)」に関する考えや取り組みを発表なさいました。これにはどのような背景があるのでしょうか。

株式会社メルカリBrand management team/ESG lead 田原純香氏(以下、敬称略):ESGとは、環境(Environment)、社会(Social)、企業統治(Governance)の頭文字をとったもので、企業の中長期的な発展のために必要な成長要素として捉えられています。そして、それが投資家の判断や経営判断の指標として使われていますね。

大山:欧米の企業では目先の利益に囚われず、SDGsやESGを重視して経営するところが増えていますよね。2019年10月にはオランダの航空会社のKLMが次なる100年を見据え、航空会社として何ができるかを考えて「Fly Responsibly(責任ある航行)」を提唱しました。持続可能な航空産業の未来を実現しなければ事業自体の存続が危うくなるからです。それでも、航空会社でありながら、飛行機への搭乗を控えようという提案内容に、話題が集まっていましたね。

田原:それがグローバルの基準になってきているんですよね。やはりこれだけ変動が激しい時代の中で、投資家が企業の成長を予想する際、本当にこの企業がこの先成長し、存続していけるのかを中長期で見るためには短期の財務視点だけでなく、環境・ソーシャル・ガバナンスの観点が必要であると認識され始めているのだと思います。その結果、企業側もそれを意識した経営戦略を立て、情報開示をするようになってきています。

 これまでメルカリは、ずっと広報が主体となってCSR(企業の社会的責任)活動としてさまざまな施策を実施してきました。しかし、これからメルカリが世界に通用するサービスとなるためには、メルカリ自体の社会的意義や環境・社会課題への取り組み方や情報発信についても、グローバル基準で通用するスキームでやらないといけません。メルカリは地球資源が無駄に使われていることに課題認識を持って創業された企業なので、もっとその想いに忠実に、戦略的に活動していこうと考えたのです。

大山:メルカリは「誰かにとって価値がある物を捨ててしまう現状を変えたい」という創業の思いが、会社のミッションの元になっているんですよね。たしかに事業自体が社会貢献的です。

田原:そうなんです。創業7年を迎えるまだまだ成長過程の私たちのような企業において、限られたリソースの中では、事業を通じて社会に価値を提供したほうが、より継続的な取り組みになります。私は入社当時社長室で働いていたので、当時の社長で現在は会長の小泉に相談して始まったのがESGプロジェクトです。

 ESGプロジェクトの役割はつまるところ、市場からの「メルカリは果たして今後、変動の激しい社会の中でサスティナブルに事業を推進していけるのだろうか」という問いに対し、答えを見つけて実行に向かうようにすることだと考えています。そのためにSDGsの全てのターゲットをスクリーニングして、私たちの事業に影響するリスクと機会は何かを考え、機関投資家や専門家の方々にお話を聞いて取り組むべきマテリアリティ(自社に関わる重要課題)を定めました。

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