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デロイト トーマツ、「2023年アジアパシフィック内部通報調査レポート」発表 日本特有の事情明らかに

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 デロイト トーマツ グループは、「2023年アジアパシフィック内部通報調査レポート」を発表した。同調査は、内部通報制度に関する各組織の能力や対応状況を把握するため、2023年3月31日から5月1日にかけて、日本を含むアジアパシフィック地域各地で実施され、509件(うち日本企業は169件)の回答をもとにまとめられている。

調査の概要
  • 調査期間:2023年3月31日~5月1日

  • 目的:内部通報制度に関する各組織の能力や対応状況の把握
  • 回答者:アジアパシフィック各国から509件の回答を収集(うち日本企業は169件【内訳:国内拠点71件、海外拠点98件】、海外企業は340件)。74%の回答者は、組織の内部通報を担当する主要な意思決定者
  • 対象国:中国、香港、インド、インドネシア、日本、韓国、マレーシア、ニュージーランド、オーストラリア、フィリピン、シンガポール、台湾、タイ、ベトナムなど
  • 言語:日本語、韓国語、簡体字中国語、繁体字中国語ほか

内部通報のニーズが高まるアジアパシフィック地域

 今回の調査では、調査対象企業全体の93%が内部通報制度をすでに導入している、もしくは今後導入する予定と回答しており、残りの7%は導入する予定がないと回答している。制度を導入しない理由としては、経営陣が必要性を感じていない、組織が小規模過ぎる、リソースが不足しているといった組織に起因するものもあれば、内部通報制度を求める法律や規制がないことを理由に導入を行っていない企業もあるという。

 組織内で内部通報をどの程度重要視するかについては、全体の58%が非常に重要であると回答しており、組織規模が大きい企業ほど優先度が高いと考える傾向があることが分かるとしている。

Q.あなたの組織には内部通報制度がありますか?
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Q.内部通報は、組織内でどの程度重視されていますか?
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実務や社会規範の変化に伴い、内部通報の目的や利用方法が多様化

 働き方や社会規範が変わる中、内部通報の目的や利用方法も変化しているという。不正行為や不適切行為を発見することは、内部通報制度の重要な目的の一つとされており、今回の調査に回答した企業のいずれの業界においても同様の傾向にあるとしている。

 一方で、71%は「誠実かつ倫理的な組織風土を醸成すること」を内部通報制度の最も重要な目的として挙げている。報復行為を怖れず、正しいことを行うために真実を伝える内部通報者を組織として支持する傾向が高まっており、組織風土の改善や透明性の高い職場環境の推進といった、組織をよりよくするためのツールとしての機能を内部通報制度に期待していることが分かると述べている。

日本と海外企業の内部通報制度に対する意識の違い

 日本とその他アジアパシフィック地域の海外企業の内部通報制度における違いを見てみると、海外企業にとって内部通報制度の重要度・優先度は非常に高いものの、実際に制度を導入している比率は日本企業の方が高い結果となった。また、通報内容の傾向として、日本企業の国内拠点において「パワハラ」「セクハラ」「人事」関連の不満の声が多く寄せられている反面、海外企業においては「贈収賄」「汚職」「利益相反」「差別」といった内容が主体となっており、内部通報に対する国内外の企業における意識の違いが大きく表れているという。

日本企業の内部通報窓口・管理のデジタル化に課題

 日本企業、海外企業ともに通報窓口として複数のチャネルを設置している企業が多くなっており、88%はEメールを活用していると回答、次に専用電話窓口・ホットラインが70%を占めている。調査回答企業全体の49%が利用しているウェブプラットフォームによる通報受付は、Eメールと電話受付の双方のメリットを融合させることができ、秘匿性が高いツールとして近年期待が高まっているという。

 しかし、ウェブプラットフォームを活用している企業の比率は、日本企業(国内拠点)では38%と低くなっており、内部通報制度のデジタル化の遅れが懸念されるとしている。

Q.内部通報のために、どのような通報窓口が設置されていますか。(複数回答)
Q.内部通報のために、どのような通報窓口が設置されていますか(複数回答)
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内部通報制度の周知不足に加え、日本企業では海外拠点管理における課題も浮き彫りに

 今回の調査対象企業の多くは、組織内で内部通報方針を設定している一方で、周知不足を課題として挙げている。日本企業においては、国内外の拠点で内部通報制度が設置されているものの、一部の海外拠点では方針が定められていないと回答している企業もあり、国内拠点に比べ方針の整備が後手に回っていることが分かる。体制が整備されていても、制度やその利用方法について従業員への周知が足りず、内部通報が有効に活用されない可能性があるとしている。また、外部ステークホルダーへの情報発信や通報受付体制は発展途上になっているという。

 通報後の対応状況の通知について、日本企業は「期間を設けず、調査が完了次第」と回答した企業が74%と高い一方で、海外企業は「通報後24時間以内/1週間以内」と定められた期間内で対応するとしている回答が多く、国内外における企業の内部通報案件の対応・管理状況に違いが見られるとしている。

 複数の国や地域、多言語の通報に対応する必要がある組織では、本社においてグローバルに管理する体制の構築が大きな課題になっており、社内で適切なリソースを確保することが容易ではないことから、必要なスキル、ツールや専門知識を備え、客観的かつ独立した内部通報制度を運用できる外部プロバイダーを利用するメリットが広く認識されるようになってきているという。

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