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ソニーにおけるデザイン活用

デザインをみんなのものにするソニーデザインの取り組み──リベラルアーツとしての”デザイン”

第3回

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 「デザイン経営」や「デザイン思考」という言葉が随分と使われるようになりましたが、具体的にはどのようなアプローチがあるのでしょうか。デザインというと、色やカタチにまつわること、あるいは難しそうで自分とは関係ないと考える方がいらっしゃるかもしれませんが、そうではありません。本来の意味のデザインとは、皆さんのビジネスと直結し、活用の可能性が大いにあるものです。この連載では、ソニーデザインの事例を通して、デザイン活用のポイントについて解説してます。第3回となる今回は「デザイン発想」プログラムを取り上げます。

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デザインを広義に捉えた「デザイン発想」プログラムとは

 企業が研修プログラムを組む際、デザインを取り入れるケースが増えてきました。“デザイン”といっても、色やカタチを描くものでなく、元々デザインが持っている「問題解決能力」、つまり問題を深掘りし、その解決策を考え、具体的なカタチにしていくプロセスを学ぶプログラムが多く見受けられるようです。これは、デザインの対象がモノの色やカタチだけではなく、ユーザー体験やコミュニティなど人のつながりといったカタチのないものにも拡がり、広義でデザインを捉えるようになってきたことと関連しています。

 「広義のデザイン」とは、“デザイン”の考え方を、デザイナーやデザイン分野に限定せず、ビジネス、教育、エンジニアリング、公共政策、医療、社会課題解決などの領域に適用するアプローチです。この広義のデザインは、問題解決、創造的な発想でのイノベーションの促進などで、様々な分野に活用できると考えています。

 ソニーのデザインを担っているクリエイティブセンターでは、デザインを広義に捉え、その活用の可能性を探る目的で、未来を担っていく子どもを含めた多くの人々に向け、デザイン視点を盛り込んだ「デザイン発想」プログラムを開発してきました。このプログラムの運営母体となっているのは、クリエイティブセンターの傘下にあるソニーデザインコンサルティング(以下、SDC)です。本稿では、プログラムがどのような意図を持ったものかについてまとめています。

「デザイン発想」プログラムの様子
「デザイン発想」プログラムの様子

リベラルアーツとしてのデザイン

 リベラルアーツ教育とは、日本においては、大学の教育制度や教育文化の視点から「一般教養」と呼ばれているものです。一部の専門分野に焦点を当てるのではなく、様々な学問分野を包括的に学ぶことで、幅広い知識とスキルを総合的に育み、多様な視点と批判的思考、コミュニケーションスキル、倫理的意識などを養い、個人の成長と社会への貢献を促進することを目的としたカリキュラムとなっています。

 SDCは、大学での一般教養のカリキュラムに加えて、初等教育やリカレント教育としても展開ができるような、リベラルアーツとしての広義のデザインに触れる機会を提供し、あらゆる人がデザインを活用できるようになることを目指しています。

 社会に出て求められるものは、正しい/正しくないを判断する能力だけではありません。様々な問題を前に、どうあるのが最善の姿なのかを描き、そこに向かって解決を図っていく能力が求められているのです。欧米のデザインスクールでも徹底的に行われているのは、既にある答えにたどり着くことではなく、答えを創り出すことに向けた鍛錬です。しかも、先生が生徒に一方通行で教えるのではなく、生徒自身が見つけ、周囲と議論を重ねながら高めていくことを推奨しています。SDCは、デザインプロセスの中にあるこのような“発想”自体を教育分野に活用できるのではないかと考えました。デザイナーの仕事は、未来のありたい姿を目に見えるように、触れるように、体験できるようにすることです。確度の高い課題を発見するためにも、今解くべき課題を発見するためにも、“ありたい姿”を描く必要があります。

 SDCでは、あらゆる人を対象にデザインに触れる機会を提供することを目的に、「リベラルアーツとしてのデザイン」というテーマで、“ありたい姿”を自由に発想する「デザイン発想」プログラムを開発し、社外の様々な場で発信・実施しています。

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ソニーグループ クリエイティブセンター(ソニーグループ クリエイティブセンター)

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