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新規事業が生まれる組織づくり (AD)

神戸大学・吉田准教授と語る、エフェクチュエーションの実践を可能とするイノベーティブな組織の要件とは?

ゲスト:神戸大学大学院 経営学研究科 准教授 吉田満梨氏

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イノベーションの成功企業は社内外のリソースを調達できている

大長:先日は、新規事業開発担当者300名を対象にインターネット調査を実施しました[1]

 アンケートで「新規事業が重要」かつ「成功している」と回答した企業を「成功グループ」、それ以外を「非成功グループ」と位置づけ分析したのですが、一番大きく差が出たのが社内外のリソースを調達できるかどうか、というところでした。成功グループの73%が「組織内外にある専門性やスキルも調達できる」と回答していたんです。

「組織内外にある専門性やスキルも調達できる」と回答
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 多くの場合、大企業の中で新規事業の企画を提案して、ある程度のところまではいけるのですが、事業にしようとしたときに社内の協力を得られなかったり、あるいは外部のエキスパートをプロジェクトに入れることができなかったりして止まってしまうんですよね。ずっと最初のメンバーだけでやり続けていると「手中の鳥」が増えず、うまくいきません。そこが、成功企業とそうでない企業を分けるポイントなんじゃないかと思います。

吉田:その通りだと思います。新規事業創出についての学術研究の中でも私が現代でも有効な知見が詰まっていると思うものの一つに、『イノベーションの理由 -- 資源動員の創造的正当化』(有斐閣)という本になっている一橋大学の先生方のプロジェクトがあります。

 1954年に設立された大河内記念会が生産工学・高度生産技術における顕著な業績を表彰する伝統と権威のある賞として大河内賞があります。この本では、受賞した複数の事例を対象にイノベーション実現のプロセスを分析しているのですが、それらの中で順風満帆に進んだものはほとんどないんですよね。革新的で非連続な取り組みであるがゆえに会社として資源投入できないという状況があって、どこかで大きな障壁に直面するわけです。

 そういうときに、どこからどういうふうに資源動員をしながら進めていったのかを、この研究では解き明かしています。そうすると、社外のつながりもありますし、社内でも全然関係ない部署やグループ会社のような想定外のところで「クレイジーキルト」っぽい関係性がつくられていたり、本人たちが思ってもみなかったような理由で上長や社長の協力が得られたりしているんです。うまくいったところは、そうやって「手中の鳥」を拡大するサイクルを回すことができていました。

神戸大学大学院 経営学研究科 准教授 吉田満梨氏

大長:確かに、これまでに出会った、大企業でプロジェクトを前に進めている人というのは、すべからくストーリーテラーでした。他の部署の人に「社長が新規事業を頑張ろうと言っていましたよね?」と言っても協力してもらえません。そうではなく、「自分はこういうことをやりたい。これに参加すれば、あなたにとってはこんな意味があるんじゃないか」という話をしてつながれる場合に、協力が得られているんです。

 結果的に、今残っているのはそういう話ができる人で、できない人はほぼ潰れていっています。そこを個人の力量によらず、組織としてできるように支援したいんです。


[1]大長伸行『どの要因が新規事業開発の「成功グループ」と「非成功グループ」を分け、新規事業が生まれる組織へ導くのか』(Biz/Zine、2024年3月)

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誰もが起案者にも応援者にもなれる関係がクレイジーキルトを生む

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やつづかえり(ヤツヅカエリ)

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