ジャンルの「越境者」とは―takramのとりあえずの仮説

takram design engineering 渡邉 康太郎 氏インタビュー:後編

 デザインエンジニアのほか、建築家やグラフィックデザイナー、サービスデザイナーなどの多様なメンバーが集うクリエイティブ・イノベーション・ファームtakram design engineering。普段から、ハードウェアからソフトウェア、サービス、ブランディングなど、領域を越えてさまざまな企業のプロジェクトに取り組み、新しい価値を提案している。takramのなかで、クリエイティブディレクター / デザインエンジニアとして活動する渡邉氏に、デザインとエンジニアリングの間を振り子のように行き来するその思考や、領域を「越境」することの意味について、話を伺った。今回は2回にわたるインタビューの後編。前編はこちら

[公開日]

[語り手] 渡邉 康太郎 [取材・構成] 江口 晋太朗 [編] BizZine編集部

[タグ] デザイン思考 プロトタイピング リフレーミング 組織文化

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越境と超越とを統合し「鳥の目と虫の目」を持つ

――渡邉さんは、「越境」とは別に「超越」という考えも提示しています。越境と超越はどういった考えなのですか?

 「越境」は、複数の分野を横断できるよう、複眼的な視点をもつこと。分野を横断するという意味で、水平のイメージとつながっています。たいして「超越」とは、遠ざかって俯瞰する視点をもつこと。垂直のイメージです。一つの組織における経営者はこの「超越性」を備えた存在の代表例です。

 しかし、超越視点の副作用として物事の詳細を掴む解像度が落ちてしまうこともあるため、全体視点と部分視点の両方をバランス良くもつことが必要です。いわゆる「鳥の目と虫の目をもて」という言葉の通りです。微視と俯瞰の両方を、現場も経営者ももつことによって、問題をリフレーミングすることにもつながります。

Methodology:Problem ReframingMethodology:Problem Reframing(「鳥の目と虫の目」を持つ)
© takram design engineering

 ソフトウェアの設計変更が必要だと思っていても、実はUXの流れの工夫でそもそもの問題を無効化できることがあります。モバイルアプリを作るべきだと思っていたものが、リアルショップにサイネージ・ディスプレイを配置することや、単に商品のレイアウトを変えることで解決したりすることもあるかもしれません。一つのジャンルに縛られることなく、超越性や越境性をもつことによってそうした気付きをえることができます。

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