JTBコミュニケーションデザイン(JCD)は、「「推し」地域=関心がある・好きな地域に関する調査」の報告書をまとめた。
同調査は、地域活性化に向けて地域間のさまざまな交流を促進し、関係人口を増やすための考え方や施策の方向性を定める際の資料を提示することを目的としている。

「推し」地域の現状:「推し」地域の有無・きっかけ・場所・訪問頻度・予算など
1.「推し」地域がある人は全体の30.5%
事前調査では、全国の20歳から69歳までの男女を性年代別(10歳刻み)の人口構成比に即して10,000人抽出。国内に「推し」地域があるか聞いたところ、「「推し」の地域がある」が15.2%、「どちらかと言えば「推し」の地域がある」が15.3%、「推し」地域がある人は30.5%となった。

2.「推し」地域のきっかけは「旅行・趣味や飲食店への訪問」「地元・住んだことがある・実家がある」など
「推し」地域があると回答した人1,040人に「推し」地域を知ったきっかけを聞いたところ、「旅行・趣味・飲食店などがきっかけ」が65.3%と高く、次いで「地元・実家・住んだことがあるなど」が41.5%となった。

3.全体の43.2%が「推し」地域が居住地と同じ地方区分
「推し」地域の場所について尋ね、その結果を【地元】の人と【地元以外】の人に分けて集計した。居住地と同じ地方区分(北海道、東北、関東、中部、近畿、中国、四国、九州・沖縄)が「推し」地域である割合は全体で43.2%。一方で、【地元】の人では74.5%と、約4人に3人が同じ地方区分を「推し」としていた(図3-1)。
また、北海道地方と東北地方に居住する人は、同一圏内を「推し」とする割合が高く、対して関東・中部・近畿地方に居住する人は比較的分散する傾向が見られた(図3-2)。


4.「推し」地域、2~3カ月に1回以上訪問する人が38.5%。予算は1人10,000円~50,000円が最多
「推し」地域の訪問頻度を見ると、「週に1回以上」「月に2回程度」「月に1回程度」「2~3カ月に1回程度」を合わせた、「2~3カ月に1回以上」訪問する人の割合は全体の38.5%。特に【地元】の人は【地元以外】の人に比べ訪問頻度が高く、約7割が「2~3カ月に1回以上」と回答(図4-1)。
また、訪問時の1人当たりの予算は、「10,000円以上」~「50,000円未満」が、全体の45.0%を占めた。一方で、【地元】の人は【地元以外】の人に比べて予算が低く、「1万円未満」の割合が49.3%と約半数にのぼった(図4-2)。


5. 「推し」歴は「11年以上」が半数を占める
「推し」地域の推し歴は、「11年以上」を合計すると50.7%と半数を超え、「21年以上」も32.8%を占めた。「推し」地域が【地元】の人は【地元以外】に比べて推し歴が長い割合が高く、「21年以上」が6割に達した(図5)。

6.「推し」地域での過ごし方は「観光地・施設訪問」「散策」「カフェ・飲食店」が上位
「推し」地域での過ごし方を複数選択式で聞いたところ、「観光地や施設など特定の場所を訪問する」「街や自然を散策して楽しむ」が各5割超で上位に。次いで「カフェや飲食店で過ごす」「ショッピング」が4割前後となった。また、「推し」地域が【地元】の人では「家族や友人の家で過ごす」、【地元以外】の人は「観光地や施設など特定の場所を訪問する」が最も高い結果となった(図6)。

7.「推し」地域への訪問、「一人」派が約4割、「誰かと一緒に行く」派が約6割
「推し」地域への訪問は、「一人で行く」は37.8%で、「誰かと一緒に行く」は62.2%。同行者は「家族・親戚」が37.1%と最多で、次いで「恋人・パートナー」「友人・知人」となった。また、「推し」地域が【地元】の人は【地元以外】の人に比べて「一人で行く」割合がやや高い傾向にあった(図7)。

「推し」地域の魅力:好きな理由・行きたくなる時・愛着エピソード
8.「推し」地域が好きな理由、「自然・リラックスなど」「人や場所が好き」
「推し」地域が好きな理由を聞いたところ、「自然を楽しめるから」「日常から離れてリフレッシュ、リラックスできるから」などの【自然・リラックス】が71.2%で最多。次いで「お店の人や地元の人に好感が持てるから」「好きな店や場所があるから」などの【人・場所】が49.8%となった(図8)。

9.「推し」地域に行きたくなる理由は、「日常から離れたい」「体や心が疲れたとき」
「推し」地域に行きたくなる理由を複数回答選択式で聞いたところ、「日常から離れたい、離れたほうがいいと感じたとき」が46.8%で最多、次いで「体や心が疲れたとき」が39.7%となった。
同居家族別で見ると、【一人暮らし(自身のみ)】や【親】と同居するケースでは「日常から離れたい、離れたほうがいいと感じたとき」が他層より高いことがわかった。一方で、【配偶者・パートナー】【子ども】の場合は「同行する人の都合が合ったとき」が他層よりも高くなった(図9)。

10.「推し」地域に愛着が増したエピソードは、「飲食店」「気持ち」「自然」に関わるものが上位に
「推し」地域に愛着が増したエピソードを自由記述式で聞いたところ、「飲食店」「気持ち」「自然」にまつわるものが上位に挙がった(図10)。


「推し」地域の影響と未来の可能性:インフルエンサー活動・今後の予測・要望
11.半数以上の人が「推し」地域のことを話題にしたり訪問を勧めたりしている
「推し」地域のことを周囲にどう話しているかなどを聞いたところ、「「推し」地域のことを話題にしている」に肯定的な回答をした人が75.6%、「周りの人に「推し」地域に訪問することを勧めている」が60.1%となった。
また、「推し」地域が【地元】の人は【地元以外】の人に比べ総じてスコアが高く、周囲への活動量が多い傾向が見られた(図11)。

12.「推し」地域、「もっと訪問頻度を増やしたい」が最多の回答数に
「推し」地域に関する今後の可能性について聞いたところ、「「推し」地域に行く回数・頻度を増やしたい」に肯定的な回答をした人は45.9%、「今の「推し」地域のほかにも別の「推し」地域ができる可能性がある」は34.3%、「「推し」地域だけでなく、その周辺にも行動を広げたい」が31.4%となった。
「推し」地域が【地元以外】の人は「推し」地域に行く回数・頻度を増やしたい」「別の「推し」地域ができる可能性がある」などの回答が多くを占めた。一方で、【地元】の人は「「推し」地域に自分なりの“居場所”がほしい」「「推し」地域に自分も何か貢献できたらいいなと思う」などの割合が【地元以外】の人よりも高くなった(図12)。

13.行きたくなる「推し」地域のイベントはグルメフェスや伝統行事・お祭り
どのようなイベントが行われていたらその地域に行きたいと思うかを複数選択式で聞いたところ、「地元の食材や料理を楽しめるグルメフェス」が43.4%、次いで「伝統行事・お祭り」が35.7%となった。
「推し」地域が【地元】の人は【地元以外】の人に比べて「アニメ・ドラマ・映画などロケ地を生かしたイベントや聖地巡礼企画」「地域の音楽フェス・ライブイベント」「地域になにかしらの貢献ができるイベント」の割合が高い結果となった。

【関連記事】
・JTBとCAMPFIREが「JTBクラウドファンディング」をスタート 地域活性化や観光振興を促進
・熱海市とJTBによる法人向け事業「意外と熱海 for Biz」、さらなるビジネス利用促進へ
・TsunagiとPlaru、農業・観光・事業創出を横断する関係人口共創モデルの検討を開始