「顔と名前が一致しない」を解決するカオナビ、柳橋社長はシンプルな「フック」で勝負する

人材管理ツール「カオナビ」社長の柳橋さん。スタートアップの人事の苦労を経て起業。設立後、様々な出会いを経てたどり着いたのはシンプルな「売れるサービスづくり」のための原則だった。

[公開日]

[取材・構成] 京部康男 (Biz/Zine編集部)

[タグ] タレントマネジメント ワークスタイル HRテック

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成長期のベンチャーで経験した、人事という「火中の栗拾い」

柳橋 仁機(やなぎはし ひろき) 株式会社カオナビ 代表取締役
アクセンチュアで技術職、アイスタイルで人事責任者を経て、サイバーエージェントとのJV子会社の立ち上げに参画。その後、独立し現職。経営視点で人事業務をみた際に、既存の人事業務や人材開発手法に疑問を感じ、「顔と名前の一致」に着目したシステム「カオナビ」を開発・販売開始。

顔写真を並べることで直感的に人材を把握し、人事部門をはじめ現場のマネジメントが活用する人材管理ツール「カオナビ」を提供する(株)カオナビの社長、柳橋仁機さん。

新卒でアクセンチュアに入社し、エンジニアとして経験を積んだ後、大学とアクセンチュアの先輩でもある吉松徹郎氏が起ち上げた、化粧品の口コミサイト「@cosme(アットコスメ)」を運営するアイスタイルに参加した。

アイスタイルがアットコスメのブレイクで急成長する中、柳橋さんは人事部長に任命される。吉松社長の右腕として役が買われての、火中の栗拾いだ。エンジニアだった柳橋さんの「人事」への第一歩だった。

成長期のベンチャーにありがちなんですが、ビジネスは急成長に組織風土が追いついていない。現場と社長の間にはギャップがあって、ミドルマネジメントが機能していない。あちこちで「火消し」をやっていました。社員同士の不満や感情の問題を一気に浴びて、風当たりも厳しかった。でも性格的にそういうのは平気なんですね。(柳橋社長)

アットコスメの影響で特に女性の採用人気は絶大で、大手化粧品会社の内定を蹴ってくる女子も多かった。しかしマネジメントも育成の仕組みも不在なので、優秀な新人も現場に配属されると能力を活かせない。その後仕組みも整備され、「今のアイスタイルはとても良い会社」だが、その頃は新卒を採用するのに迷いも感じるほどだったという。

そんな時に、サイバーエージェントから声がかかりジョイントベンチャーが起ち上がる。サイバーエージェントの人事リーダーの曽山哲人氏に出会い、人材・組織マネジメントの彼我の差に衝撃を受けた。

僕は当時頭が硬かったんで、曽山さんに「人事評価制度ってどうなってるんですか?」って聞いたら、特に複雑なことはしていないっていうんです。社員面談の記録にもお天気マークとか使っていて、ずいぶんシンプルだなと思った(笑)。でも今から思えば、相当センスが良くて先を行ってたんです。(柳橋社長)

曽山氏の打ち出す社内活性化や人事施策はクリエイティビティに富んでおり、サイバーエージェントの業績を支えていた。「人事が会社の成長に結びつく」ことを思い知らされたのだという。

その後、柳橋さんはアイスタイルを退職してカオナビの前身となる会社を始めた。当初は核となる製品・サービスは無く、受託開発や人事コンサルタントをして食いつないだ。そうこうするうちに、曽山氏から再び声がかかった。聞けば、社員の顔写真を並べて管理するツールを作りたいのだという。

サイバーエージェントも人が増えて社員の顔がわからなくなったと。社員の顔と名前を覚えてマネジメントをするために今まで手作業でやっていたけど、顔写真が簡単に並べられるツールが欲しいと言うんですね。

これが現在のカオナビの原形となった。柳橋さんは「サイバーエージェントがその課題を感じているならば、他社にも同じような課題があるのでは?」と考え、曽山氏にサービス化の許可を得た。さらに、顔写真をクリックして、スキルやプロフィール、プロジェクトの経験などを参照できる人材データベースに成長させた。

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