「波を起こすサーファーであれ」落合陽一氏がソフトバンクワールドで語った「デジタルネイチャー」の駆け抜け方

SoftBank World 2017 レポート

「SoftBank World 2017」に登壇したメディアアーチストの落合陽一氏。現代は「計算機的自然/デジタルネイチャー」の時代であり、近現代が歴史の中で捨て去ったもの価値を見直し、多様性を追求することが重要になるという。メディアアーチストであり研究者、そしてビジネスシンカーともいえる落合氏の講演のエッセンスを紹介する。

[公開日]

[取材・構成] 京部康男 (Biz/Zine編集部)

[タグ] AI アート

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

「計算機的自然=デジタルネイチャー」の時代

500名ほどの会場は満員で立ち見も出ている。ソフトバンクの主催する企業のエグゼクティブ層が対象のイベントとあって参加者の年齢層は高め、スーツ姿も多い。冒頭「僕の本を読んだことのある人いますか?」の質問に対して、客席から多くの手が上がった。どうやら落合氏目当ての参加者が多い模様で、ビジネス層にも有名な存在になってきているようだ。

落合陽一
落合陽一(おちあい・よういち) 1987年生まれ。東京大学大学院学際情報学府博士課程修了(学際情報学府初の早期修了者)、博士(学際情報学)。筑波大学学長補佐。同大助教としてデジタルネイチャー研究室を主宰。コンピューターを使って新たな表現を生み出すメディアアーティスト。著書に『魔法の世紀』(PLANETS)、『これからの世界をつくる仲間たちへ』(小学館)がある。『超AI時代の生存戦略 シンギュラリティに備える34のリスト』(大和書房)

メディアアーティストであり、大学の研究者、そしてベンチャー企業人でもある落合氏。「AI時代のビジネスシンカー」ともいえる。自身の肩書を「まだらになっている」と称しながら、「10年後はこういうあり方が普通になる」と語る。講演テーマは「計算機的自然=デジタルネイチャー」だ。冒頭から早口のトークを展開する。

落合氏の研究テーマは「波動工学」、「デジタルファブリケーション」、「メタマテリアル」、そして「AI/ディープラーニング」「VR」「ボディハック」の6分野。人間や自然を「波で扱うか、物質で扱うか、知能で扱うか」の3方向の視点で捉えていくとき、それぞれの分野はつながってくるのだという。

「コンピュテーションによって人間の近現代を超克すること、新しい技術インフラの構築、新たな自然観と表現の追求」が落合氏の活動の目指すものだという。近代の超克といえば、人文思想系のキータームともいえるが、落合氏の場合、テクノロジーを使って実装するとことが本領ともいえる。たとえば現実空間にCGで作られたものを出力することや、現実にあるものをCGの中に取り込んでいくことなどの様々なプロジェクトを通じて、人工物/自然物の二分法を超える世界観の作品を作り続けている。

バックナンバー