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『プロダクト・レッド・グロース』なぜセールスでなく、プロダクトでプロダクトを売る時代へ移行したのか

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 企業のビジネスモデルは大きく変化しました。セールスやマーケティングが顧客に提案し、製品やサービスを購入してもらう従来の手法が、「プロダクトでプロダクトを売るモデル」へと移行したのです。新たなプロダクト主導型のモデルは、「プロダクト・レッド・グロース(Product Led Growth)」と呼ばれています。今回ご紹介する『プロダクト・レッド・グロース』(ウェス・ブッシュ 著・八木 映子 訳/ディスカヴァー・トゥエンティワン)では、その実態を徹底的に紹介。従来モデルとの違いから実現のプロセスに関する実践知までを、1冊で余すことなく紹介しています。本記事では、その内容の一部に触れながら、企業が新時代を生き抜くためのビジネスモデルについて、簡単な概要を押さえていきましょう。

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事業に関わるすべてのチームがCX向上を考える“プロダクト主導”の時代

 世の中はサブスク型サービスやアプリなど、試したいときにすぐ試せるプロダクトで溢れています。すぐにサービスを試したいのに、面倒な申し込みフォームへの入力をしなければいけなかったり、長い商談を持ち込まれたりすることはストレスに感じることもあるでしょう。いまや、セールスがプロダクトを売る時代は終わり、「プロダクトでプロダクトを売る時代」になっているのだと本書は述べています。そこで、ユーザー獲得、アクティベーション、リテンションをプロダクトそのものが担うという、現在注目されている手法が「プロダクト・レッド・グロース(Product Led Growth:以下、PLG)」です。

 米国のソフトウェア・スタートアップ業界においては、「2020年代はPLG時代」ともいわれているくらい、盛り上がりを見せているそうです。では、PLG時代までの移り変わりはどのような流れだったのでしょうか? その答えはソフトウェアの歴史に見ることができます。

 ソフトウェアの時代は大きく3つに分かれるといわれています。まず、インストール型のソフトウェアを長い時間かけてクライアントに提案する、営業主導の2000年以前。次に、セールスフォースの登場を皮切りにマーケティング主導の時代へと変化した、2000年以降の時代。そしていま我々が実感している、ユーザーが担当者の提案よりも先にプロダクトへアクセスし、価値を見定めることができるプロダクト主導の時代です。

 プロダクト主導型のGTM(Go To Market)戦略であるPLG。klipforio(クリップフォリオ)創業者 兼 CEOのアラン・ホワイト(Alan White)氏は「PLGを取り入れるということは、事業に関わるすべてのチームがプロダクトに影響を与えるということだ」と述べています。

 マーケティングチームはどうすればプロダクトの需要を伸ばせるかを問い、セールスチームはプロダクトをどう使えば見込み顧客に買ってもらえるかを問う。そして、カスタマーサクセスチームは、どんなプロダクトならユーザーにいま以上に活用してもらえるかを考えます。各チームがプロダクトにフォーカスした活動をすることで、CX(カスタマーエクスペリエンス)の強化を中心とした企業文化が形成されていくのです。これにより、より短いセールスサイクルと低い顧客コスト(CAC)、高い従業員1人あたり売上(RPE)を実現できるといいます。

 では、なぜこのようなシフトが起きているのでしょうか。本書は、SaaSビジネスに起こっている“3つの変化”を解説しています。

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この記事の著者

名須川 楓太(Biz/Zine編集部)(ナスカワ フウタ)

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